放課後3

「先輩の事、好きですよ」
 耳元で嵐が呟いている。
 馬鹿馬鹿しい…。その程度の嘘に騙されていたりしたら、世の中生きて行けない。
「うるさい・・・」
 呟いてすぐ傍に接近していた顔を手の平で押した。
  力を込ていたのが馬鹿みたいに、何の抵抗もなく嵐の顔が離れていく。

 光が斜に差し込んで、ニスの剥げ落ちた学校特有の安っぽい木の机をてらしている。
 その机の上に学生服とカッターシャツを放り投げて、晶は白いブラウスに手を通した。
「そうすると、本当に女みたいですね」
 赤いリボンのついたブラウスを着込んでいるのを見て、嵐がクスクスと笑っている。
「宮原を見に行ったらどうだ?今のシフトだろ」
「別に、先輩が目当ですから」
 人を小馬鹿にしたみたいに笑い続けている。居心地が悪い。
 この、異常に短いスカートも、サラサラとして気持の悪いブラウスも、嵐の視線も、何もかも。

 3年生の送別会は毎年生徒会が主催している。アンケートとそれぞれのクラス代表でどういっ形での催しがいいかを決定して、生徒会がその希望に答えられるようにできる限りの努力をするのだ。
 そこで、誰がふざけたのか知らないが、今年は何故かアンナミラーズ風に決定してしまった。それも、生徒会員の女装付きだ。
「こんなの、何がいいんだか…」
「男子校最期のお遊びですよ。春からは大学だから、最後に盛り上がりたいんですよ」
 嵐は普通に学生服で椅子に座っている。女装人員は勝手に会長に決められた。
 もちろん、晶も宮原も組み込まれている。
「先輩、そんな格好して、他の奴くわえこまないで下さいよ」
 嵐の手が、履いたばかりの赤いスカートの下に潜り込んで来た。
「っつ・・ちょっ・・」
「俺は、ちょっと用事があるんで不安ですね」
 クスクスとおかしそうに笑っている顔がせまってくる。
「やめろっ・・何考えてんだっ!」
 晶が焦ってスカートの裾を押さえ付けた。
 テストや送別会の準備のゴタゴタで、しばらく触れあってなかったから、ちょっとでも触られると、体が反応してしまいそうだ・・。
「やめっ・・嵐っ・・」
「ちょっと、大人しく・・・」
 じたばたと動く晶の身体を机の上に腹這いに押し倒して、嵐の身体が上から乗っかかってきた。
 体格の差も歴然な上にこんなに短いスカートで、身動きの取りにくい格好だ。
 抵抗もむなしく、下着がずり降ろされてしまう。
「っ・・嵐、本当に・・・」
「何、言ってんですか」
「ひっ・・」
 冷たい空気が剥き出しの太腿と尻を撫で上げていく。身体が、これからの行為に勝手に期待している。
 自分で制御できない。
 手を動かしても、ブラウスが突っ張るだけだし下肢に忍び込んだ嵐の手が離れない・・。
 ゆるゆると撫でられるだけで、身体の熱がどんどん上がって行く。
「なっ・・何っ・・」
 一瞬手が離れて、冷たいものが震える後孔にねじ込むように押し込まれた。
 突然の異物に、襞が蠢いて、痙攣している。
「ただのゼリーですよ。いつもなら、先輩、泣いて『使って』って頼むじゃないですか」
「いやっ・・やめっ・・」
 馴れた感覚が体内に侵入してくる。グチャグチャとした気持の悪い感覚に中からおかされて、冷や汗が体中に吹き出る。いつ、誰が入ってくるか分からない教室で、こんな事をさせられているなんて信じたくない・・。
 今すぐにでも、誰かが入って来るかもしれない・・。ドアを開けて、こんな姿を見られたら・・。
 机の上に押し付けられて、後孔にチューブを突っ込まれている。
「あっ・・あっ・・」
 すぐに送別会にでなければならないのに、どんどんと身体があつくなっていっていく。中からヌルヌルとした物にじわじわと押し広げられていってる。
 アナルから熱が身体中に広がっていっている。
「さてと、もう大丈夫かな…」
 チューブが引き抜かれて、代わりに硬い異物が襞に触れた。
「なにっ・・やぁ・・・」
 ジュクジュクと濡れた音をたてて、体内に異物が侵入してくる。嫌なのに、ジェルのせいで、どんどんと勝手に入って来る。とめる事ができない。
「あぁっ・・・」
 グイグイと強い力で押し込まれる。
 内側から襞が擦り上げられていく強い異物感。熱に、体中が支配されている。
「はぁ・・・あっ・・・」
 ガクガクと足が震えて、立っていられない。上半身を机に押し付けている嵐の手が離れたら、床に崩れ落ちてしまいそうだ。
 襞が絡み付いて、音を立てているのが耳に響いて来る。ひどく淫猥で耳をふさぎたい・・。
「さてと、これでいいですよ」
 嵐の声と、下半身でボタンをとめる様な音が聴こえた。 
「あっ・・」
 身体を少しでも動かすと、勝手に中の異物が動いて内膜を擦り上げてしまう。
 中を指で掻き回されて、爪を引っ掛けられているみたいだ・・。
 嫌な、ゾクゾクとする感覚が背筋を這い上がって、頭まで一気に伝わって来る。
「嵐っ・・のけて・・」
 晶の震える指が、嵐の袖口を掴んだ。
「何を言ってるんですか。もうすぐシフトの時間ですよ」
 力の入らない指が、あっさりとはたき落とされてしまう。後からはがいじめにするようにして、嵐が晶の身体を持ち上げた。
「う…」
 それでけでも、身体が震えて、意識が飛んでしまいそうになる。
 何を入れられているのか分からない。ズリズリと擦り上げられる異物感で、意識が朦朧としてくる。背筋に電流が走るみたいにジンジンと響いて来る・・。
「しっかりして下さい。シフトは2時までですね。その頃に迎えに来ますから」
「あっ・・・」
 強引に、嵐の手が晶の肩を掴んで歩き始めた。
 足が交互に出さないと、引きずられるような形になってしまう。肩を掴んでいる大きな手にさえも、肌がざわついてしまう。
「嵐、本当に…」
 もう一度、嵐の顔を見上げた。何を考えているのか、難しい顔をして、スタスタ歩いているだけ。廊下を歩いても、床が歪んで見える。
 歩きながら、ずっと中を弄られているみたいだ・・。指でかきまわされながら、廊下を歩かされているような錯覚に陥ってしまう・・。
 本当に、こんな状態できちんと仕事をこなせるとでも思っているのだろうか。
 こんなの、ただの虐めだ…。苦しい・・。
「さぁ、先輩。じゃあ、2時に」
「あっ・・嵐っ・・」
 送別会の教室の前まで来ると、嵐の大きい手が肩から離れた。
 1人では、立っているのがやっとだ。
「っつ・・・」
「大丈夫ですね。じゃあ、後で…。俺は生徒会の仕事があるんで…」
 晶の髪の毛を掻き揚げてから、嵐の影が遠ざかって行った。廊下をまがって行く足音が、すぐ後でひらかれている送別会の喧噪にかき消されてしまう。
「うっ…」
 教室に入って、送別会の手伝いをしなければいけない。
 壁に手をついて、身体を立て直すと、嫌な汗が額にじんわりと浮いて来た。身体を動かす度に、内膜が擦り上げられてしまう。
 不意に刺激されると、どうしても身体がふるえてあやしい感覚が背筋をはい上がってくる。
 後孔が開かれっぱなしで、ジェルが太腿まで伝って来そうだ・・。
「あっ、晶。こんな所に居たんだ。早く入って来て手伝えよ」
「・・」
 息を吐くと同時に、ガラガラと音をたてて、書類を手にした村越が教室から出て来た。
 晶よりも10cm近く高い位置にある目が、まじまじと赤いスカートとエプロンを這い回るように見ている。
「なんだよ…」
 掠れている声をごまかすように、喉から声を振り絞った。睨み付けると、幼馴染みの親友は、視線を緩めて、いつものニヤついた表情にもどる。
「いや、結構似合うなーっと思って。お前みたいな奴にこんな格好させてもなぁ…と思ってたけど、成功だな。
 まぁ、宮原には劣るけど」
「そんな事言われて…、嬉しいと思うか?」
「誉めてんだよ、一応」
 無駄話をしていても、ドアに掴まっていないと苦しい。
「ほら、手伝って来い」
 背中を押されて、よろめく身体で教室に入った。

 送別会は学校全体で行われていて、小さな文化祭のようなもの。ここは喫茶室で、適当にくつろいで下さいというのが目的だ。
 主に、後輩が先輩に別れの挨拶をするための日という感じで、1月からは任意登校で卒業式まで来ない3年生を呼び出すための日だ。
「先輩、これお願いします」
「あっ、うん…」
 コーヒーののった銀色の盆が、同じ格好の宮原から手渡された。晶より細くて綺麗な手が白いブラウスからのぞいている。
 こいつなら、見に来る価値は充分かな…。
 晶は自分の腕とみくらべて、溜め息をついた。なんとなく、中の異物のせいで、肌全部が紅潮しているような気がする・・。
 宮原と比べて、自分が酷く堕ちた存在みたいで、惨めだ・・。
「先輩、それ、あそこです」
「わかった…」
 歩くと、よけいに異物が中で主張してくる。
 気持が悪い。
 今すぐにでもこれを取り外したい。
「どうぞ」
 震えそうになる足を叱咤して、さっき宮原が指差した先のテーブルへとコーヒーを届けた。
「先輩、これもお願いします」
 宮原の、嫌味なくらいに透き通った声が響いて、また盆の上に物が置かれた。
 教室内は、友達とだらだらと話している3年生が多くて、8割形満員な状態だ。生徒会のコーヒーとお菓子を配って行くだけだけど、おもっていたよりも忙しい。
「あっ・・・」
 震える手で、晶はエプロンのたすきを掴んだ。
 嵐が強引に入れて来た器具のせいで、身体が熱をもったみたいに熱い。
 何をしても、その事ばかりが頭をしめていく。こんな格好させて、心配だから、とか嵐は言ってたけど、こんなのただ単に楽しんでいるだけじゃないか・・・。
 嫌な考えが頭を回る。今も、どこからか嵐はこんな自分を見て、あざ笑っているんじゃないか・・。
「晶、お前もそんな格好してるとかわいいな」
「えっ…、ちょっと」
 考え込んでいると、頭の上から大きな手が現れて、後から抱きつかれるみたいに肩を掴まれた。突然の事に、体が震えてしまう。
「すっげ、短いスカート。見えそうじゃん」
 去年の6月まで会長を勤めていた先輩の顔がすぐ傍に迫っている。
 肩の上に顎を乗せて、左手を肩にまわして右手で晶のスカートを掴んでいる。
「ちょっ、会長っ!!ひっぱらないでくださいっ」
「ほら、俺はもう会長じゃないだろ。
 ケチケチすんなよ」
 なんとかスカートの裾を手をおさえて、元会長達の手から逃れた。
 純粋にからかっただけらしく、おかしそうにクスクスと笑っている。
「はぁ・・」
 元会長達が適当な席に座ったのを見て、晶は溜め息を吐いた。スカートの下は、嵐が付けたいかがわしい器具で、スカートがめくられてしまえば、ばれてしまう。
 考えただけでも冷や汗が吹き出る。
 全部嵐が悪いんだ・・・。こんな事をするから。
 もう、中の感覚がないような気がする。熱をもっているみたいにただ熱いだけ。
 たまにジェルが擦れて、ヌメヌメとした気持悪い感覚に襲われる。
「うっ・・・」
 耳に濡れた音が響いている。
 身体の芯がズクズクと疼くようで、たまらない。
ジェルが足の間から流れしまいそうで、冷や汗が止まらない。
「はぁ・・」
 歩いても、足がフラフラになっているのが分かる。目の前で極彩色が弾けているように、視界もはっきりしない。
「・・・」
 意思に反して前がすっかり硬くなっている。でも、変な器具のベルトに押さえ付けられて、痛いだけだ。
 2時までは、あと1時間もある。ずっとこんな状態では、おかしくなってしまう。
「っつ・・・」
「先輩、どうしたんですか?具合でも悪いんですか」
「あっ…うん…」
 宮原の声に慌てて顔を上げると、綺麗な顔を首を傾げて覗き込んでいた。
 コーヒーを盆にのせる指が震えて、指先まで赤く紅潮しているみたいだ。
「先輩、休んで来たらどうです?ちょうど昼の時間で、皆学食に流れそうだし」
 確かに、立ち上がって移動しようとしている生徒もおおい。
 それに、もう身体が限界だ。腰が萎えたみたいに力が入らない。
 今にも、この床にしゃがみ込んでしまいそうだ。喘ぎ声をあげてしまいそう・・。
「うん…じゃあ、悪い…けど」
 晶は俯いて、コックリと頷いた。
 宮原に盆を手渡して、保健室に向った。それだけの距離でも、すごく長く感じる。どうしても足がフラフラとして、身体が右へ左へと揺れてしまう。

「うっ…」
 なんとか保健室に辿り着いてすぐに、ベッドの上になだれ込むように横たわった。
 今日は送別会のみだから、保健室は無人で、保健医も来ていない。
 とりあえず、嵐が教室に行けば、宮原がここを教えるだろう。
 2時までの我慢だ…。
「はぁっ…」
 シーツに顔をこすりつけて、晶は熱い息を吐いた。
 全然身体が治まらない。それどころか、じっとしていると、余計に熱くなって来ているように感じる。
 たまらない…。
「う…」
 顔を布団に擦り付けて、声を押し殺した。でも、全然おさまらない。周囲から遮断されているみたいに、自分の体の感覚だけで精一杯・・。
 中が熱くて、ジンジンしていてもどかしい・・。
「え・・・」
 息を整えるように、何度も吐いていると、突然ひんやりとした風が太腿に触れた。
 かぶっていた布団が床に落ちている。
「あっ・・会長・・」
「晶、具合でも悪いのか?」
「はぁ…」
 さっき会ったばかりの元会長の顔が近付いたかと思うと、太腿に冷たい指先があたった。
「なっ…なんですか…」
 背筋がゾクゾクする。ただでさえ敏感になっている肌に触れられると、声を上げてしまいそうだ。
 視界の隅で、会長の指が晶の太腿の上を言ったり来たりしている。見るからに卑猥な仕種に、後孔が疼いて、中の異物をしめつけた。
「ひっ…」
「これのせいじゃないのか?いつの間に、こんな事するようになったんだか」
 会長の手が、短いスカートの下に簡単に潜り込んで来て、器具を上からトントンと叩いた。
「あっ…やっ、止めて下さいっ」
 内膜に響いてしまう。
 刺激が脳にまで響きそうだ。身体が熱くて、力が入らない。
 自分を押さえ付けているブレザーの袖を、必死で引っ張ったけど、会長の身体はビクリともしない。
 それどころか、髪の毛を掴んで、強引に身体が裏返された。
 ベッドの上に俯けに押さえ付けられて、足の間に体を入れられると、身動きがとれない。
「っつ・・や・・」
 音をたてて、器具のボタンが外された。
 何故、会長がこんな事をするのか分からない…。頭の中が、パニック状態に陥っている。
「会長っ…」
 会長は優しくて、人望も厚くて、村越も晶も尊敬している・・・。
 その人の手が、今、自分の中から淫猥な器具を引き抜いている。絡まりつく襞も、溢れるジェルも、全部見られている・・。
「すげぇ…」
「あっ…あ…」
 足の間に、強引に会長の足が差し込まれて、左右に開かれた。
 器具が身体から出て行く、卑猥な音が耳に響いている。後孔が疼いて、痙攣しているのが分かってしまう。
「真っ赤になってるぜ。もの惜しそうにヒクヒクしてる」
「やっ・・やだっ・・」
 こんな事をされて、嵐に何を言われるか分からない。会長へと、嵐への恐怖で、頭がおかしくなってしまいそうだ。
 怖い…。
「誰だよ。お前の相手。
 あの、嵐とかいう奴?それとも、村越?どっちにしろ、すげぇな。こんなのつけさせて」
「ひっ…」
「それとも、お前が絶えず何かくわえこんでおきたい淫乱 なのか?」
 先輩がクスクスと笑いながら、腸壁を指で掻き回した。濡れた音がして、ジェルが溢れ出している。
 どうしようもなく頭がボーッとしてくる。逃げ出したいけど、それだけの体力も、力もない。
「あっ…やっ…」
 身体が勝手にビクビクと震えて、襞でちぎれんばかりに指を締め付けた。
 同時に、前から白い迸りが溢れ出す。
「あっ……」
 体から一気に力が抜けるけど、まだ先輩の指が入ったままで気持悪い…。
「後だけでイッた?すげぇな…」
 会長がクスクスとからかうように笑っている。恥ずかしい…。それに、こんな所、誰かに見られでもしたら…。
 恐怖に体が竦んでしまう。
「あぁっ…やめっ…」
 指が、グイグイと勝手に入って来た。さっきまで異物を含んでいたせいか、指が動く度に体がガクガクと震えてしまって、言う事を聞かない。
 顔をシーツに押さえ付けられると、もう訳がわからない・・。ただ、指のかもし出す感覚に流されてしまいそうになる。
「ひっ・・あぁっ・・」
 襞が押し広げられては、引きずり出すみたいにこすり上げられる。
 かろうじて、嫌だ…と思って体を動かしても、ただ腰を揺らめかせているようにしか見えない。
「いやっ・・やっ・・」
「すごっ・・」
 不意に、指が一気に引き抜かれてしまった。
 中がジンジンと熱いままだ・・。さっきまで掻き回されていた部分がヒクヒクと痙攣している。
「マズイ…、俺、携帯…アイツだ・・」
「あっ・・かいちょっ・・」
 会長が慌ててベッドから降りてしまった。
 携帯を見ながら、晶など居なかったかのように、急いで走って出て行ってしまう。

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