Another Side
李名はすっかりおびえたように、身体を強ばらせている。
「はぁ・・・」
 そう言われると、せっかくのチャンスだ。どうせ、告白してダメだと言われても、どうせ相手は貧弱な虐められっこだ。
 力でどうにかならないか・・・なんて、最初から考えていた事だ。
 すこしばかり、状況が変わったと考えればいい。まぁ、告白はいつでもできるし。
 せっかくの好機を逃す手はない。
「じゃあ・・・」
 矢沢はゆるゆると手をバイブに伸ばした。突き出ている取っ手を掴むと、じわじわと振動が伝わる。
 動いているままのソレをズルリと引き抜いた。
「ひっ・・・」
 一気に、毒々しい色のソレがズルリと抜け出た。
 李名の身体が強ばって、体内からポタリポタリと液が落ちる。
 引き抜いた瞬間、赤い粘膜がずるりと引っ付いて来た。
「うわっ・・すっげ・・」
 取り出した器具の長さを見て、思わず感嘆の声をあげる。
 この細腰にこんなにも巨大なバイブが埋もれていたのか・・・と想像してしまう。
「あっ・・・いやっ・・・」
 必死でもがいて、なんとか矢沢の手からのがれようとする。
 それでも、マットに上心身だけを預けたような形で乗り上げてしまっているため、動く事ができない。挙げ句に両手は後ろ手に縛られていて、足はがっちりと矢沢が抑えているのだ。
「いやっ・・やめてっ・・」
 李名は必死で首を捻って、矢沢に哀願した。
 それも、こんなに無防備な状態では虚しいだけだ。
「ひぃっ・・・」
 不意に矢沢の指がツプンと音を立てて李名の中に侵入してきた。
 ひくつく襞をかき分けるようにして、ズンズンと侵入してくる。
「すげぇ・・・内臓って感じ・・・」
 矢沢は感嘆の息を漏らすと、難無く親指も挿入して来た。
「ひっ・・・やっ・・」
 親指と人さし指で、押し広げるようにして中を覗き込んだ。
 真っ赤に充血した粘膜がヒクヒクと蠢いている。
 グイグイと更に押し広げると、李名の身体がガクガクと震える。
「ひっ・・っいたっ・・」
 李名がガリガリと音をたてて、体育マットを後ろ手に縛られた爪で引っ掻く。
 どんどんと内部があばかれて行く感覚に、身体がどうしようもなく震える。
「おいおい・・・あんまり無茶してやるなよ」
 浅間の言葉にハッとなって、慌てて矢沢は指を外した。
「すんません」
 教師にペコリと謝ってから、再び李名の身体に視点をあわせる。
 すでにほぐれているらしい後孔は、いますぐに突っ込んでも大丈夫そうだ・・。
 ヒクヒクと動いていて、まるで誘っているように見える。あげく、中からはジェルのような液がじんわりと漏れ出ている。
「うぐっ・・・」
 一気に、矢沢は自分の屹立した男性器を差し入れた。
 身体の下で李名が押し殺したような悲鳴をあげる。
 奥が蠕動するように締め付けてくる。
「っく・・・」
 矢沢も、李名の内部の締め付けの強さに閉口した。入れただけでイッてしまいそうだ。
 とてもじゃないが、抜き差しなんて出来そうにない。
 矢沢は落ち着くまで・・・と思って、李名の腰を押さえ付けたまま、じっとしていた。
「あっ・・う・・」
 そのままでいると、不意に身体の下の李名が苦しそうに、声を上げて、もがき出す。
 押さえ付けている腰が艶かしく揺れはじめる。
「あぁ・・ひぃっ・・」
 我慢できないように李名の身体がガクガクと揺れて、矢沢の手を振り払うように腰を動かしはじめた。
 腸が蠕動して、ヒクリヒクリと矢沢を締め上げる。
 矢沢の身体の下で、両手を戒められたままの李名が必死で腰を使っている。
 喘ぎ続けて、閉じられない口から、ポタリポタリと唾液がマットの上に落ちる。
「っつ・・」
 我慢できずに、矢沢も李名の腰を掴んで、激しく注挿した。内臓の奥に擦り付けるように突き刺す。
「ひぃっ・・」
 その度に、李名の口から悲鳴めいた声が漏れる。
 何度も李名をえぐって、矢沢は李名の中に果てた。
「いやっ・・ひ・・」
 腸に精液が浴びせられる感覚が気持悪いのか、李名が身体を捻って足をバタバタとさせる。
「李名、きちんと望みは言わないとね・・・。どうして欲しい?」
 浅間が優しく李名の髪の毛を撫で上げた。
 矢沢を収めたまま、李名は苦しそうに上体を動かす。
 おさめられたままのせいで、身体がガクガクと震えて、上手く力が入らない。
「やぁ・・抜いて・・」
 必死で上体を前進させて、なんとか矢沢の楔から逃れようともがいた。
 体中が圧迫感で気持が悪い。
 身体一杯に、頭まで異物がつめこまれているようだ。
 しかし、矢沢ががっちりと腰を押さえ付けているので、ゆらゆらと腰が揺れるだけで、全く動いていない。そうして、揺すったせいで、矢沢のが腸壁に擦り付けられ、背筋を刺激が駆け上がってくる。
 李名はゾクゾクと背中を震わせた。
「何言ってるんだか・・・。今、抜かれたら困るのは李名だろ。
 きちんと言いなさい」
 浅間がそう言って、李名の乳首をTシャツ越しに摘まみ上げた。一瞬、ビクリと李名の身体が揺れて、体内の矢沢をさらに締め付けてしまう。
「言うっ・・言うからっ」
 後ろは深々と串刺しにされて、前は乳首を弄られては身体が壊れてしまう。
 李名は必死で浅間の手から逃れようともがいた。
「もっと・・・もっと突いて・・」
 消え入りそうな程小さな声で李名が囁いた。顔をマットに擦り付けているが、羞恥のせいで体全体がこれ以上ない程朱にそまっている。
 浅間はニヤニヤと笑うと、矢沢に『楽しいだろ』と言わんばかりの視線をよこした。
「おい、李名。きちんと言わないと。
 どこを突いて欲しいんだい?」
 浅間のセリフに、李名が息を飲んだ。
「お尻・・の・・穴を突いて・・・」
 掠れそうな声で、李名がなんとか言う。
 羞恥のせいか、感じているのか、ギリギリと李名のアヌスは矢沢を締め上げる。
「ひっ・・・あぅっ・・」
 浅間が一歩引いたので、矢沢は律動を開始した。一旦注ぎ込んだ精液のおかげで、よく滑る。
「うぐっ・・・ひっ・・」
 李名が耐えかねるように、マットに顔を擦り付ける。
 ぬちやぬちゃと湿った音が響き渡る。
「あぁっ・・いやっ・・・」
 李名がビクビクと太腿を痙攣させた。同時に、マットの上に李名の放った精液がポタリポタリと落ちる。
「何・・・栖山イッたの?」
 呆然と矢沢が呟くと、李名は荒い息をしながら、顔をマットに擦り付けるようにして伏せた。
「まぁ、いいけど・・・」
 まだ息の整わない李名の尻を抱え直した。矢沢との結合部から、精液が泡立って出てきている。
 ズズッとすこしだけ抜くと、赤い粘膜がまくれ上がるようにして少しだけついて来る。
 矢沢はぐったりとなっている李名を確かめてから、その赤い粘膜を掴むように触った。
「ひぃっ・・」
 李名の身体が電流が走ったかのようにビクビクと震えて、上半身が海老ぞりにしなった。
「そっか・・・敏感なんだ・・・」
 矢沢は呟いてから、再び律動を開始した。
 すっかり脱力している李名の腰を抱えて、打ち付ける。
 後孔だけは追い縋るように反応をかえすけれど、李名はびくりびくりと震えて息をもらすだけで完全に疲労しているようだ。
「っつ・・・」
 矢沢は小さく呻いて、李名の中に精液を吐き出した。
「ひっ・・」
 李名も小さく呻いてからだをビクビクと痙攣させる。
 ズルリと李名の中から、矢沢は自分自身を引き抜いた。
「おい、李名。何ぐったりしてんだよ。
 まだ残っているだろ」
 浅間がクスクスと笑って、李名の頭を小突く。李名は後ろ手に縛られたままの両手で不自由そうに起き上がると、身体を反転させて矢沢の方に顔を向けた。
「っつ・・」
 何だろう・・・と考える間もなく、李名が矢沢のペニスを舐めはじめる。
 残滓をすくい取るように舌で舐めあげる。
 矢沢はあせって身体を引きかけたが、すぐに綺麗に舐めあげると、李名は顔を引いた。
「浅間・・」
 李名はそのまま、再びマットの上につっぷす。
 矢沢の呼び掛けに、浅間は楽しそうに顔を上げた。
「あぁ、どうだ?
 楽しかっただろう。何なら、お前、これからも李名を使っていいぜ」
 李名は無表情にマットの上に転がっている。
「でも・・・そんなの何で・・」
 矢沢は頭の中がどんどんと混乱していった。
 ただ、李名に告白したくて来ただけなのに・・・。
「あぁ・・こいつは俺の甥っこなんだよ。それで、俺の事が好きらしい・・。
 俺にだったら、何をされてもいいから抱いて欲しいんだとよ・・」
 浅間は呆れたように苦笑しながら言うと、肩を竦めた。
 胸が痛い・・・。
 矢沢はぎゅうっと胸の辺りを抑えた。
 李名が好きなのは浅間なのか・・・。ジッと李名の顔を見るが、表情は無表情のまま変わらない。
「お前はコイツの事が好きみたいだし・・・。
 俺としては好きな奴がいるから、コイツには答えられないし。
 まぁ、だから、お前もコイツを好きに使えばいいじゃないか」
「でも・・先生・・」
 李名はか細い声で浅間の方を見た。抗議の声だ・・。
 矢沢はキリキリと痛む胸を抑えて、浅間を見る李名の横顔を見た。
「何だよ、李名。
 お前はなんでも俺の言う通りにするんだろ。だったら言う通りにしろよ。
 じゃないと、もう抱いてやらないぜ」
 浅間の言葉に李名は黙って俯いた。
 矢沢はどうしたらいいのか分からない。呆然と立ち尽くすだけだ。
「という事だよ、矢沢。
 お前も李名を好きに使っていいぜ。よろしく頼むな」
 浅間は李名の手の縄を外しながら、矢沢に呼び掛けた。
「はぁ・・・」
 好きに使うと言われても・・・。
「まぁ、今日はコイツは俺が連れて帰るから」
「じゃあ・・・」
 浅間の言葉に、矢沢はおずおずと後退して、準備室を出た。中では李名がしなだれかかるようにして浅間に介抱してもらっている。
 やはり、失恋したと言う事になるんだろうか・・・。
 矢沢は考えて、首を傾げた。
 でも、取りあえず、それはこれから考えるしかない・・・。浅間に許可をもらったチャンスを生かすも殺すも矢沢次第だ。
 体育館を一歩踏み出すと、もう、すでに外は真っ暗だ・・。
「まぁ・・・頑張るか・・」
 呟いて、矢沢は帰宅すべく歩き始めた。
「Another Side」 2000  11 03

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