BROTHER BATTLE


  「じゃあさ、ホラ」
 更に、グイッと強引に引かれる。
「わっ!!」
 ひやりとした空気がふれて、トランクスまではぎとられた。
「なっ、なにすんだよっ!!」
「大丈夫、大丈夫。
 人生の先輩に任せなさい!!」
 純を後ろ向きに抱え込んで、片手で首根っこを掴んで床に押さえ付けた。
「わー、猫みたいな扱いやめろっ!!」
 ジタバタと暴れる純をガッシリと抑えて、兄は片手でダンボールの中をガ   サガサと 探った。
「コラコラ、暴れるなって。
 あっ、あったっ・・」
 ちゃっとチューブを取り出して、兄は純の身体に向き直った。
「安心せい、純。あったで!!」
「わっ!何がッ!!」
 素早くチューブからジェルを絞り出すと、兄は純の後庭に塗り付けた。
「わっ、何っなにっ!!」
 冷たさにビクッとなる身体にお構いなしに塗り付けていく。
「いやー、兄ちゃんの会社な、ホモのAV作ってンねんけど、兄ちゃんはさ    ー、男のアナル はいじったことなかったから、やってみたかってん」
 兄の手はその間にグチュリと音をたてて、純の中に侵入してきた。
 ツキッっという痛みが走って、すりこぎでも侵入してきたかのような異物   感をずしりっと かんじる。
「わっわっわっ・・、へっ、変だよ・・」
 身体に強引に穴でもあけられたみたいな奇妙な感覚に身体が震える。
「あれっ?でも、たしか、人さし指一本分ぐらいのところに前立腺があんね   んで」
 クイクイと指が中でうごかされる。
 奇妙に、くすぐったい。
「やっ、やめろって・・・。
 大体、なんできゅうに大阪弁になってんだよっ!!」
「ああ、俺、五年も大阪住んどってんから、しゃーないやろ。
 あっ、コレちゃう?前立腺」
「ひゃうっ!!」
 クイクイと指が動かされる度に、腰に妙な電流が走る。
「やっ、マジでやめろっ!!」
 執拗になで回る指が気持ちわるいし、異物感は腰から力奪うし・・。
 純は逃げ出そうとずりずりと肘で前に進んだ。
「あっ、あかんて。コレ、ためしてみてーや」
 兄はダンボールから球体が9個ぐらい連なった棒状のものを取り出した。
「あかんで、文句言う前にいれたらこっちのモンやもーん」
「げっ!!」
 グリグリと入ってくる。
「うっ・・・」
 さっきまで軽く入っていた指とは比べ物にならないぐらいの異物感に呻     く。
 身体に大きな穴でもあけられたような圧迫感。
「はぁっ・・・」
 グイグイと押し込んで、スイッチ部分を残して、全部を押し込んだ。
 強引に広げられた粘膜が真っ赤に充血している。
「全部入れたで。意外と入るものやなー」
「苦しいっ・・・」
 感心したように眺める兄に当り散らすように、大声で訴える。
「ではでは、出し入れしてみんで」
 言葉と同時に兄はスイッチ部を掴んで軽く抜いた。
 同時に粘膜が捲れ上がって、内部が顔を覗かせる。
「あうっ・・」
 内臓ごと引きずり出される。奇妙な感覚に身体が自然と震える。
「おおっ、すげぇ、赤いで。ふーん、すごいなぁ。
 じゃあ、次はスイッチいれるからなぁ。覚悟しいや」
「ばっかやろっ!!ひっ!!」
 カチッという音と同時に、体内の異物が激しく振動する。
 内臓をかき回される。
「やぁっ・・。とめろっ!!」
 気持ちの悪さに頭を絨毯に押し付ける。
 腰がビクリッと無意識に跳ねる。
 脊髄を電流が走る。
「なぁなぁ、気持ちいいん?どんな感じ?」
「あうっ・・」
 グリグリと内壁をこすられる。
「やぁっ・・・やっ・・」
 前立腺を狙って直接的にあてられる感覚に、身体がガクガクと痙攣する。
「ついでやから、前もさわったるな」
 グイっと前を擦られる。
「あっ・・あうっ・・」
「うんうん、大きくなってきたで。気持ちいいやろ」
 ゆるゆると握って摩られる度に、どんどんと大きくなっていく。
 同時に後ろもツボに押し当てられて、どうにかなりそうな程快感を追って   しまう。
「あうっ・・・、イッ、イクッ・・・」
「わっ!!ちょー待てって!! 」
 突然手が離れてしまう。
 中途半端にほうり出されて、純はモゾモゾと腰を動かした。
「なにっ・・・」
「あったー。ティッシュチィッシュ」
 ネピアを抱えて、兄は再び純に向き直った。
「はやくっ!!」
 ネピア開封に戸惑ってる兄を叱りつける。
「悪い悪い。さあ、イッてええで」
 テイッシュごと、掴んでこすられる。
「あっ・・、ああっ・・・」
 もともと限界までおいつめられていた純のソレはあっけなく精を吹き上げ   た。
 しかし、中に入ったままの異物がいまだグリグリとえぐっているのが気に    なる。
「はっ・・、はやく抜けっ!!」
 純はグワッと兄を睨み付けた。

「でも、きもちよかっただろ」
 兄はバイブが 大量に入ったダンボールをタンスの上に上げながら、純に尋   ねた。
「どっこが・・・。気持ち悪いだけじゃん」
「でも、お前もまんざらじゃなかったとおもうけど」
 ストンと純の向いに座って、兄は別のダンボールを分解し始める。
「でも、兄さんってホモだったんだ。それが離婚の理由?」
 ずいっと身を乗り出して興味深々な弟の顔を軽くゲンコツでどつく。
「あほ。だれがホモだよ。
 離婚はまぁ、性格の不一致だよ。俺も若かったということだな」
 黒いセーターを腕まくりしている兄はみようによっちゃあ、なかなかかっ    こいい。
「ふーん。でも、なんで今は普通のことば喋ってるの?
 大体、ホモじゃなかったらさっきみたいな事しないと思うけど・・・・」
 純の言葉に、兄はうーんと首を傾げた。
「俺、Hのときとか大坂弁になるからなぁ。オヤジくさいけど、おもしろい    から女にはウケいし。
 それにさぁ、お前カワイイし。お前みたいな奴だったら男でも全然OK」
 兄の言葉に、純はイヤそうに顔をしかめる。
「なにソレ?キショイ・・・。男のことカワイイとかいうなよ・・。鳥肌か   くじゃん」
 ゾーっと身体をすくませる弟の顔をグイッと引き寄せた。
「マジでカワイイよ。一つ屋根の下だし、口説こうかな」
 クスクスと笑いながら至近距離で喋りかける兄を思いきり突き飛ばした。
 グシャアと音をたてて、潰れたダンボールに兄が倒れこむ。
「マジで気色悪いこと言うなよっ!!信じらんねー!!」
 純は兄をほったらかして、廊下を走って自室に逃げ込んだ。
 バタンと勢いをこめてドアを閉じる。
 至近距離で久々にみた兄の顔にも動揺してしまう。
「なんだよー・・・」
 ガシッガシと頭を掻きむしった。

「おーい、純!!マジで口説くからなー!!」 
 ドアごしに聞こえた大声にビクリッとなる。 
「馬鹿言ってろ!! 」 
  叫びかえして、純はドアを蹴った。 
  確かに、兄はかっこいいし、いいかも知れない・・・。 
  純はひとりごちた。 
「なんといっても、俺はホモだし」 
  クスクスと、肩を揺らして純は笑う。 
「でも、やっぱり恋愛の最大の楽しみは駆け引きってね・・・」 
  呟いて、純はドアに向って言い返した。 
「いつまでもキショイこと言うなってんだよ!!ばかやろーっ!!」 
         
      
「Brother   Battle」 19991008 

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