BUSINESS

「すげぇ、言ってた通りじゃん」 
 目の前の男が驚いたように声をあげる。 
 男の肩ごしに部屋をのぞけば、予想していたとおり、4〜5人の男の姿 
が見える。 
 諦めたように、詠は息を吐いた。 
  
 詠が次長の部屋に呼ばれたのは3日前だった。 
 次長といえば、ペーペーの詠が普段はめったにお目にかかれないような 
重役だ。その重役に呼ばれたなんて、何か失敗でもしただろうか、と不安 
になる。 
 しかし、次長の用事は詠が思いもよらないような事だった。 
「息子の家庭教師を頼めないだろうか?」 
 三流大学を卒業して、なんとか今の会社に就職した。同僚から比べると 
学歴は下の下だろう。 
 そんな自分に家庭教師を頼むとは、おかしい。 
「息子がどうしても君に、と言ってね。 
 どうしたのか、この前社に来て、君を見た時からうるさくてね」 
 次長の次の言葉に「ああ・・・」と詠は俯いた。 
 女性的な外見に、被虐心を駆り立てる細い身体。 
 昔から、詠は女性よりも男性から声をかけられた。それも、ゲイよりも、 
女性で遊び飽きた男性に。 
 痛い目にも何度かあった。 
 これが、次長の頼みでなければ、即刻断っていた事だろう。 
 しかし、悲しいかなサラリーマン。 
 ことわれるはずもない。 
  
 その息子の一人暮らしの家に、始めて行ったのだ。 
「フーン、徹の言うとおり、イイじゃん」 
 ドアを開けて、出迎えた男に強引に室内に引き込まれた。覚悟は決めて来た。 
 詠は抵抗もせず、黙って部屋に上がった。 
「だろ。センセイ、初めましてー。俺が徹君でーす」 
 床の上に座っている、みるからにリーダー格の男が手をあげた。 
 残りの二人が声をあらげて笑う。 
 徹とは、次長の息子の名前。 
「俺は、君のお父さんから家庭教師を頼まれた、野崎詠です・・」 
 頭を下げた詠の頭が、ガッとつかまれる。 
「ッツ・・」 
「おいっ、テツ、早速かよ。 
 飢えてんなー」 
 徹がげらげらと笑う。 
 ちらりとその様子を横目で見て、詠は再び俯いた。 
 なんてことはない。学生時代にこうゆう雰囲気を経験したことはある。 
 抵抗すれば、逆に煽ってしまうことも分かっている。 
 ただ、黙ってたえればいいだけだ。 
 今、職を無くすわけにはいかない。この不景気なんだから、次なんて見つけよ 
うがない。 
 テツと呼ばれた男が、詠の手をぐいッと引っ張った。 
「っつ・・・」 
 ソファーになぎ倒される。 
 なれた手付きで両手を ネクタイで戒められた。 
「何するんだ・・・」 
 抵抗をしても、無駄ということは痛いぐらいに分かるから、無駄な抵抗はしない。 
 詠は諦めきった声音で尋ねかけた。 
「先生、ごめんね。縛っちゃって。 
 でも、ジタバタされるのは好きじゃないんだ。わかるだろ」 
 徹がコーラを飲みながら笑いかける。まだ、若いし、さぞかし女性にもてそうな 
顔だちだ。何が楽しくて自分を呼び寄せたのか・・・と疑問になる。 
「これが、あのビデオの先生?」 
 テツが詠をのぞきこんで徹に話し掛けた。 
 徹のからだが、その言葉に必要以上にビクリと震える。 
「ビデオ・・・・?」 
 詠が、やっと感情の見える震える声を発した。 
「そっ。先生も見る?」 
 徹の声と同時に、部屋に置かれているワイド画面のテレビのスイッチが入れられる。 
  
「ひっ!!」 
 映し出された画面から目を背ける。 
「ホラ、ちゃんとみなよ」 
 うつむせた顔を、後ろ髪を掴んで上向かされる。 
「画像もいまいちの『裏』だけど、この犯られてるのが逸品なんだよな」 
 テレビに写っているのは詠だ。 
 今よりも幾分か若い。 
「ど、どこから・・・・」 
 詠の呟きに、徹達はクスクスと忍び笑いわもらした。 
「どこって、結構流通にのってんじゃねーの。コレ」 
 テレビの中で、詠は先輩達に犯されている。 
 画面の中と意識が重なりそうになる。先輩達に強引に犯られて、あまつさえ、ビデ 
オに撮られた過去。 
「親父の会社でアンタ見た時はマジでビビったぜ」 
 画面に向って大きく目を見開いたままの詠のスーツを、徹が脱がす。 
 肌がヒヤリと外気に触れるのも気にならない程、詠は画面に食い入っていた。 
 強引な行為に対する恐怖感が蘇ってくる。 
 からだが裂けるんじゃないかというほどの苦痛。 
「やっ、やめろっ!!」 
 徹の手が半分以上はだけられた胸の上をまさぐる。 
「おい、リュウ、ビデオ切れよ。 
 先生にはこっちに集中してもらおうぜ」 
 リュウと呼ばれた、徹よりも大人びた青年がビデオの電源をおとす。 
「なぁ、あのビデオではいきなり突っ込まれてたよな。 
 そうゆうのが好きなのかよ」 
「やっ・・・」 
 ズボンに手を掛けながら、徹が嘲る。 
 一気に剥き出しにされた下肢に、羞恥心が沸き上がる。 
「うっ・・・」 
 言葉どおり、突然徹の指が侵入してくる。 
 乾いたままの無理なことに引き連れる。 
「いたっ・・・」 
「徹、ホラ」 
 リュウがポケットからチューブを取り出した。 
 徹はソレを指に出すと、めんどくさそうに指に出した。 
「うっ・・・」 
 おざなりに塗り付けただけで、徹の指はあっさりと離れた。 
「俺、いきなりやりたい」 
 言葉と同時に、熱い塊が押し付けられる。 
「むっ・・むりっ・・」 
 詠の言葉を無視して、徹はグイグイと腰を押し付ける。 
「ヒッ・・・」 
 からだを裂かれるような激痛が走る。 
 ピッと切れたのが分かる。 
「うぐっ・・・」 
 ズシンと一気に体内に含まれた。 
 ドクドクと局部が脈打っている。出血しているのがわかる。 
「うわっ、すげー血がでてる」 
 テツが感心したように眺めた。 
「うっ・・・」 
 激痛のせいで、全くからだを動かす事もできない。 
 見開いた目から、生理的な涙がこぼれた。 
「動くぜ」 
 言葉と同時に、徹は血の滑りをかりて、動きだした。 
「ひっ・・、ヤメロッ」 
 強引な行為にからだが悲鳴を上げる。 
 激痛のため、萎えたままの詠自信には徹は見向きもしない。 
「すっげ・・締まる」 
 徹はただひたすら、自分の快感だけを追う。 
「っつ・・」 
 内壁に打ち付けられる感覚がして、徹が腰をひいた。 
 血にまみれた性器を詠の中から引き抜く。 
「うっ・・・」 
 半分以上意識を手放した詠は、下肢わ開かれたまま、閉じる気力もない。 
 しかし、すぐにテツ下肢を抱えられて、否が応でも、意識がもどってくる。 
  

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