「じゃあ……じゃあ、俺のも、舐めてみてくれよ」
「え……」
シーツの山の隙間に、向かい合うように立っている。
瑞喜の目が、困惑したように揺らいだ。伏せたまつげの下の黒目が泣きそうに潤んでいるのが分かる。
「俺も……試してみたいな。ほら、してみろよ」
「あ……うん……」
足のつま先で、右足を軽くつつく。すると、瑞喜が辺りを見回しながら、うなずいて、足を折り、床に膝建ちになった。
ちょうど、隼人の性器の前に顔が来ている。
「約束だよ……パパには内緒だって……」
「分かってるよ」
瑞喜が膝建ちの状態のまま、隼人のズボンに指をかけた。
不器用にズボンのボタンを外して、ファスナーを下ろしていく。
「……ほら、いつもしているとおりにしろよ」
隼人も、初めての事で、とても不安だ。でも、それを瑞喜に悟られてはならない。虚勢をはっても、未知の事というのは、やはり、怖い。
「っ……」
瑞喜の赤い唇が開いて、中から赤い舌が出てくる。
舌が伸びて、性器に触れた。
「あっ……」
隼人は思わず逃げ腰になりそうなのを我慢して、シーツの山に身体をもたれさせ掛けた。
舌が、は虫類みたいで、気持ち悪い。ヘビが頭の中に浮かんでくる。
「っつ……」
赤い唇が、緊張でやや小さくなっている、隼人の性器を飲み込んでいく。
「うっ……」
性器がぬめっとした感触に包まれていった。生え始めたかすかな陰毛も、唇の中に吸い込まれていく。
「うわっ……」
唇で覆った歯が、性器の根本を甘噛みした。瑞喜の白い指が、隼人の陰嚢に伸びる。
細い指がぎゅうっと押すように陰嚢を揉みしだく。
「あ……」
はじめての感覚に、頭がパニックに陥る。
なま暖かくて、柔らかい。
瑞喜の外観からは想像できないくらいに、口の中は熱い。
「はぁっ……あ……」
舌が性器をなで上げて、先端をつつく。舌のザラザラとした感触がここちいい。
隼人は、まだ、自慰は体験したことがなかった。
そういう事、というのはわかっていても、まだ、おぼろげなままだ。学校の、保健体育の授業だけでは、充分じゃない。クラスの中には、「両親のHしているところ」とか「兄姉のHしているところ」を見ちゃった、という話もきくけれど。
具体的には、想像したこともない。
夢精をしてしまったことはあるけれど。母親には、はずかしいから、ばれないように隠していた。
「はぁっ……あ……」
そのせいで、過ぎる刺激に、頭の中が混乱していく。瑞喜が唇を細めると、その刺激だけで、身体がゾクゾク震える。
性器が、いつもより、敏感になっている。
みえないはずの、瑞喜の舌の動きまで、頭の中に浮かんでくる。
「う……すごっ……」
ずちゅずちゅと、唾液の音がして、性器が瑞喜の喉奥にこすりつけられた。かすかに触れる歯が痛い。
先端から、ジンジンとした快感が伝わってくる。
「すご……はぁっ……」
頭の中が、どんどんとぼんやりしていく。
股間部分でうごめいている、やや茶色い髪の毛を指で掴んだ。
同時に、グチュと音がして、口腔内壁に性器がこすれる。
「あ……」
どんどんと、性器が大きくなっているのが分かる。
最初は大きく感じた瑞喜の唇が、今は、小さく感じる。
もっと奥までつっこみたい。
もっと、喉奥まで、自分の性器でえぐりたい。
「はぁっ……あ……」
「んっ……ぐ……」
髪の毛を握って、唇を引き寄せた。
赤い唇が、隼人の男性器にへばりつくように食いついている。
喉奥に当たる感覚がたまらない。ジンジンとした快感が、奥から湧いてくる。
「あ……」
ズチュズチュと音がして、性器が熱い。
「は…ぁ……」
ジンジンする。下肢から、電流が上がってくるように、頭の中がぼんやりとしてくる。
「あ……」
身体の奥から、ムズムズと、何かがせり上がってきている。
瑞喜が力を入れて、性器を吸うたびに、ムズムズとした感触が強くなっていく。
「う……うぁ……」
ペニスの先端がしびれた。
舌が、ペニスの先端をつつくように刺激してくる。そうすると、身体がどうしようもなく痙攣して、ペニスから、何か、が出てきそうな気がする。
「う……やばっ……」
奥から、せり上がってくる。
こらえよう、としてもこらえられない…。
「う……」
陰嚢を、指で押された。
一気に、背筋をゾクゾクとする感覚が走った。
「あっ……あぁ……」
頭の中で、何か、が爆ぜた。
「あっ……」
ペニスの先端から、なま暖かい精液が放出される。
瑞喜の赤い唇に、半透明な液体が吸い込まれていく。
「んっ……あふ」
小さな頭が、いっしゅん性器から離れた。
床に、ポトリと隼人の精液が落ちる。
「おまえ……」
頭がぼんやりとしてくる。過ぎた快感のせいで、まだ、頭がはっきりとしない。
でも、瑞喜の唇の中に、精液を放出してしまったのは分かる。
そういうプレイもあるって、聞いたことはある。
「……おまえ、こんなことばっかりしてんの?」
呆れるというよりも、驚愕の方が大きい。
「………う…ん…前の学校では…」
言いづらそうに、瑞喜が視線をそらす。
白い首は、確かに、見てみると、まるで女の子みたいだ。
唇だって、女子みたいに赤い。頼りない、細い肩。多分、女子だと言ったら、それでも通用しそうな気がする。
男子でも、女子でもないような、ギリギリのバランスという感じだ。
「っつ……」
瑞喜が咳き込むと、自分が先ほど出した精液が、床にポトリと落ちた。
こんな風ないじめ方もあるんだ…。
改めて、考えてみる。
「おまえ……」
このいじめ方は、今までのよりも、ずっと楽しいかもしれない。
意地悪な考えが、頭をよぎる。
これからも、ずっと、こうしていじめていったら。
自分の子分みたいに瑞喜をコントロール出来たら。
「………」
それは、楽しい、に違いない。子分が手に入る上に、性欲まで解消されるのだ。
瑞喜の口の中に射精したのは、とても気持ちよかった。
ああいう経験を、何度でも出来るならば…。
それは、楽しいに絶対、違いない。
「じゃあ…こんどの学校では、俺が、まもってやるよ」
「え……?」
床に手をついたまま、瑞喜が大きな目で見上げてくる。
濡れた口元が、なんだかいやらしい。AVビデオの女性を思い浮かべる。
「俺の言うことを聞いていれば……守ってやるよ」
「……ほんと?」
動揺しているように視線が揺れる。
頷いて、瑞喜の濡れた唇を指でぬぐった。
「うん。俺が……いじめないように言うし」
クラスは、学年に一クラスしかない。隼人は、中でも、ボス的な存在だ。だから、きっと、自分が「いじめるな」といえば、自然と、瑞喜の事は、いじめの対象から、そがれるだろう。
「そのかわり……」
「…うん……」
もうすぐ、新しい父親が手に入る。それに、新しい兄姉。
「俺の言うこと、聞いたら、な…」
否。兄姉と言う名の子分、だ。
また、もう一度、この唇の中に射精したい。
でも、それも、これから、何度でも出来る。
「おじさん」を「お父さん」と呼んで、母親の言うことを聞いていればいいのだ。
「俺が、守ってやるよ」
「……ありがとう……」
それくらいならば、簡単な話だ。
嬉しそうに安堵してうなずく瑞喜を横目にチラリと見た。
これから。これからが楽しみだ。
この子分に、どんなことをさせようか……
隼人は、思いめぐらした。
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