さようならのくに 参 2ページ目 |
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「あ……あ…そんな…俺が……」 修は、血止めたみいなパウダーを青年の胴体側の切断面にふっていて、それから、ビニールをかぶせて、きつく締め上げていた。 見慣れた一連の作業だったけれど、俺は改めて自分が「切った」と思うと、身体がわなわなと震えはじめてきていた。 修は、俺の方をみて、ニタリと笑った。 「あぁーあ…。敬偉も、ついにこの青年の足を切ってしまったね…。 かわいそうに。でも、これで、敬偉も共犯者だね」 「あ……あ……だって……」 切らなくては、自分のペニスを切断されると言われたから。仕方がなかったんだ。 修は、ニタニタと笑いながら、切り落とされた足をつかんで、部屋を出て行った。 俺は、青年と2人きりになると、なんだか、たまらなく怖く感じてきた。 青年の青白い顔が。人形みたいで。それても、時折、眉が動いたり、唇から息を吐き出したりしているので、「生きて居るんだ」という事が分かる。 俺は、自分が足を切断した、という「凶行」が、この青年からばれてしまうんじゃないか…と思うとなんだか恐ろしくなってきた。 修に救いを求めたかったけれど、修は部屋を出て行ってしまっていて、居ない。 「あ……あぁ……違う……そんな目で、俺をみるな…」 俺は、青年の目が怖かった。 こちらをジィっとみているようで。 俺が、「足を切った事」を責めている。なんとかして、あの目が逃れたい。そう思うと、いても立っても居られなくて、俺は、修が置いていった薬箱の中からペンを取り出した。そうして、それを右手にもって、青年が、ジッとこちらをみている左瞳に突き刺した。 「ひ………ひぃぃぃ……」 部屋の中に、青年の悲鳴が響いた。 「あぁ、うるさい!! 見るな!! うるさい」 そうすると、青年の左目はとじられて、ただ、涙のように、血が流れ出してきた。 自然と右目もとじられて、青年の瞳が見えなくなった。 俺は、青年の瞳が閉じられたことに少しだけ安堵した。だけれども、今度は、両手・両足がない胴体が気になってきた。 この青年の心臓が。心が、俺が足を切断したことを覚えていて、責めているような気がして。 そう思うと、その身体から心臓をとりださなければいけないような気がしてきた。 でも、そのためには電動のこぎりでは駄目だ。ナイフみたいなものがないと…。 俺は薬箱をあさったけれど、そういうものはなかった。 部屋はスポンジでおおわれているだけで家具が何もなくて。どこにも、「ナイフ」みたいな物を見つけることが出来なかった。 それが、たまらなくもどかしかった。だから、必死で、また、薬箱を漁った。 そうしていると、ガチャと音がして、光が入ってきた。 みると、修が盆をもって、部屋に入ってきていた。でも、ドアはすぐに閉められて、その光は消えて、また、元通りの部屋になった。 「何をしているんだい? 」 修は、俺がクスリ箱を漁っているのをみて、怪訝そうにこちらに寄ってきた。 「あ……あ…。だって、あいつをこのままにしていたら……。 俺が、足を切ったことがばれてしまう…。だから、そうなる前に、あいつの「心」をとらないと…」 俺は、修に手早く説明したかったけれど。それでも、興奮が先にたって、言葉がもつれていた。修は、青年の方に行くと、膝をついて、その顔を見ていた。 「目を潰したのかい? 」 修は、青年の目がとじられて、左目から血を流しているのを見て、怪訝そうな顔をこちらに向けた。 「だ…だって、俺の顔を見ている。ジッと見ているから。 顔をおぼえられていると、バレてしまう」 俺は、爪を噛んだ。 「それに、俺たちの顔を覚えている。だから、だから…」 目を潰すことは、修にとってもメリットなことだったはずだ。だから、俺はすがりつくように、修の方を見上げた。 修は黙っていたけれど、青年の身体をゴロンところがして、他に傷がないのか確認していた。 「大丈夫だよ。心配しなくても。どうせ、事が済んだら処理するから」 「ひ……ひ……」 青年は、微かな悲鳴を上げていた。 言葉を発したいけれど、喉がやきついて、言葉にならないみたいだった。 「でも、俺のためにも、目を潰してくれたんだね。ありがとう」 修はにっこりと笑って、俺の髪の毛を撫でた。 俺は、すこしだけホッとした。俺がしたことが、正しかったんだ、ということを確信することができたから。 修は、トレイから皿を取って、青年の前に置いた。それは、3つほどのおむすびだった。修は、青年が食べやすいように身体をゴロンと反転させて、うつ伏せにさせて、顔のすぐ傍に皿をおいた。青年は待ちこがれていたように、それにむしゃぶりついていた。 おむすびの中身は肉らしい…。俺は、青年が食らいつく姿をジッとみていた。 「生きている」と思うと、とても怖い気がした。俺の「凶行」の証がそこにあるようで。 「さぁ、敬偉も食べようか」 修は俺の横に座ると、スプーンで肉をすくって、俺の口元に持ってきていた。 それは、いつものことだった。 両手が自由だから、自分で食うことも出来たけれど。修は、こうして、俺に食わせることを楽しんでいるようだった。 皿の上には肉と、白米のはいった茶碗とが載せられていた。 「その肉……」 俺が呟くと、修はにっこりと笑った。 「そうだよ、さっき、敬偉が切り落としてくれた、太腿の肉だよ」 俺は、そうして、生姜焼きみたいに調理されてしまうと、原型を伴わないから、分からないんだなぁ…とおもった。青年のおむすびの中身の具も、肉みたいだった。 きっと、あれも、あの青年の肉なんだろう…。 頭の片隅で考えながら、俺は差し出されるスプーンの上の食材をどんどんと食べていった。 最初は、「青年の手だ」とかいわれると、なんとなく抵抗感があったけれど。今となっては、なんとも思わなかった。むしろ、美味で、この青年は、性的にも役立つし、食べ物としても役立つ。なんだか、この部屋の中に欠かせない物みたいな気がしてきていた。 ただ、その青年のパーツがどんどんと少なくなっていって居るのが、なんだか残念な気がした。 修は、食事を終えると、俺の身体を抱き上げて、床に四つん這いにさせた。 さっき、中途半端に青年から引きはがされたせいで、俺は、心の奥底がチリと熱くなるような感じがした。 「あぁ……あ…」 これから後孔に、修のペニスを入れられる…そう思うと、後孔がジュンッと収縮した。 「さっきは、勝手にコイツとセックスをしていたね…。いけないね」 修は静かに、俺の耳元にささやいてきた。 「あ…だって…。なんだか、身体が熱くて…」 それで、どうしようもなかったのだ。どこにも逃げ道がなかったから、しょうがなく、この青年のペニスを後孔にいれて、快感を求めていたのだ。 「本当に、敬偉は、ちよっとでも目をはなせないね」 修の声は、言葉とは逆に笑い混じりなような、弾んだ声だった。 そうして、俺をからかって、楽しんでいるような。 「あ……う…」 でも、すぐに後孔に修の指が入れられて、神経がそちらの方に集中していった。さっき、青年から引きはがされたせいで、中途半端に終えられてしまった快感が、頭の中によみがえってくる。 「あぁ……あぁ……熱い…。お尻が…」 指だけでは物足りなくて、俺は腰を揺すった。恥ずかしいような気がしたけれど。でも、それよりも、頭の中に広がっていく快感の方が、ずっと大きかった。 自我が、どこかに流されていくような気がした。 腰が勝手に揺れ始めて、後孔の襞に、自分で修の指を擦りつけている。そうすると、たまらなく気持ちよかった。 俺は、股間のペニスを、手で握った。もうすっかり屹立していて、指でふれると、脳天までビリビリと快感が突き抜けるようだった。 「あぁ……あ…修……」 「指だけでこんなにも興奮して。いけないね」 修は笑いながら。俺の髪の毛を撫でていた。 「どうして欲しい? おちんちんを入れて欲しい?
だったら、きちんと言わないとね」 「あ……あ……お…おちんちん…入れて…入れてください」 完全に頭がぼんやりとしていて、自分の言っている言葉が他人の口からでている言葉みたいに聞こえていた。 クックッと修が笑っている声が聞こえて、自分がどれだけ恥ずかしい言葉を口にしているのか。あらためて自覚させられた。 そうすると、たまらない羞恥心がわき上がってきて、俺は、顔を床に擦りつけた。 「あぁ……でも…でも…お尻が…あぁ…」 恥ずかしいけれど。言わなくてはそうしてもらえないだろう…。 空虚で、後孔がパクパクと口を動かして居るみたいだった。 「あ……あ…ひ…」 「じゃあ、希望通り。おちんちんを入れてあげるよ。嬉しいだろう」 「あ……あ…嬉しい…… おちんちんが…入ってくる……あ…」 後孔に、やっと修のペニスが押し当てられて、じわりじわりと入ってきていた。熱いし、青年のものよりも、大きいみたいに感じる。身体の中が、修のペニスでいっぱいで。 頭の先まで入ってきているように感じた。 「あぁ……はいって…入ってる…あ…」 グチュグチュと音を立てながらそうにゅうされて、腰がぴったりと重なったときには、後孔はより、ペニスを味わおうと、ひっきりなしに蠢いているようだった。 「でも、まだ入りそうだね」 修の声は冷静で、低かった。 俺は、修と結合したまま、髪の毛を掴まれて、四肢をなくした青年の身体の上に重ねられた。 「え…あ…」 青年の身体は、汗でじっとりとしめっていた。肌がぴったりとふれあうと、その汗が、自分の汗とまじっていくような気がした。 「あ…あ…」 修は、俺の後孔を犯しながら、青年のペニスを弄っているようだった。俺の太腿に、時折青年のペニスが当たっていた。俺は、さっきまで俺の後孔をおかしていた青年のペニスの硬い感触に。ゴクリと口の中にツバがしみ出してくるような気がした。 「すっかり硬くなったね。気持ちいいだろう」 青年は、左目からは血をながしていたけれど。とじていた右目をギョロッと開けた。俺は、その瞳に一瞬、身体がすくむような気がした。 「あ…あぁ…気持ち…いい」 青年の口から漏れた言葉は、まるで、俺が言って居るみたいに聞こえた。 「さぁ、じゃあ、君のおちんちんも、敬偉の中に入れてあげようか」 修の低い声が俺の耳元で響いていた。それは、俺に言っているのではなくて、青年に言っている言葉だったけれど。 「ひ……あ…な…なに…」 俺の、修のペニスが入ったままの後孔に、青年のペニスの先端が押し当てられた。 それで、はじめて、修が言っている意味が分かった。 俺の後孔に、修と青年のペニス、2つを入れるつもりなのだ…。 「ひ……ひぃ…無理…無理…」 俺は、逃れようと、腰を動かしたけれど。修の大きな手にがっちりと掴まれていて、身体をくねらせる程度しか出来なかった。 「あ……ひぃ…ひぃぃぃ……」 青年のペニスの先端が、後孔に当たっている。グイと力をこめられて、腰が強引に引き寄せられた。 「ひ……ひぃ」 痛すぎて、声がでなかった。思い切り叫びたいのに、喉は掠れて、微かな悲鳴しかあがらなかった。 脳天の先まで、先上げるような激痛が走った。 そうして、その痛みにはジワリジワリと増大していった。 「うぐ……あぐぅ……」 俺は、自分の息がうまく整えられずに、口から唾液がしたたり落ちているのが分かった。 俺の身体の下には、四肢のない青年、そうして、うつ伏せで、青年と向かい合うように俺。俺の背後に、修と、身体が重なっているのを想像すると。それがいかにも異様に感じられて、頭の中が白く混濁していった。 「あ……あぁ……」 青年も声を上げていた。 「あぁ、キツイね。それに、裂けてしまったようだ…」 修の声だけが、冷静で。それが、唯一、「これが現実なんだ」ということを示しているように感じた。 でも、そんな俺の考えも、修が腰を動かしはじめたせいで、一気に霧散してしまった。 「ひ……ひぃ……」 修が腰を動かすと、俺の後孔の中で、青年のペニスと修のペニスが擦れる。 そうして、後孔の中の襞に、滅茶苦茶に2つのペニスが擦れて。 「あつ……あつい……ひぃぃぃ……」 修は、腰を動かしながら、俺のペニスをつかんだ。 それは、痛みのせいで、すっかり萎えていたけれど。 「ひぃ……ひぃ」 修が何度かこすると、ジワリジワリと股間が熱くなっていく。俺は、自分のペニスが、屹立していくのを、なんだか他人事のように見ていた。 こんなにも痛いのに。それなのに、どうして快感を感じることが出来るんだろう。 それは、修の馴れた指の動きのせいかもしれないけれど。 「あ……だめ…うぅぅぅ……」 2つものペニスが入っているのに、快感を感じている。 自分が、自分でないような。自分が、人間でもないような。そんな違和感を感じていた。けれども、修の指の動きが激しくなってくると、考えもぼんやりとしてきて、ただ、身体が快感にガクガクと揺れはじめた。 「うぅ……イイ…あ」 「あぁ…。敬偉の中、気持ちがいいよ。きつくて…。 ほら、ギュウギュウとペニスを締めつけてきている。 気持ちがいいだろう」 「あ……う」 修が、何度も角度を変えて突いてきていた。そのたびに、身体がビクビクと痙攣する。 痛いのに、ペニスにからまる指が、強引に快感を引き出している。「あぁ、絶頂が近い」と感じると同時に。後孔に、熱いモノが打ち付けられるような気がした。 「ひぃ……ひぃぃ……」 その刺激に、俺の身体が勝手に震えて、頭の中が白く弾けた。 「あぁ……あ」 俺の身体の下の、青年の口から唾液が流れ出ている。それが、キラキラと蛍光灯の光を反射しているのが。目に焼き付いていた。でも、すぐに俺の視界もまっ白に点滅した。 イッたんだ…とわかったのは、青年の腹の上に、俺のペニスからドクドクと断続的に、精液が漏れ出ているのを見たとき。 そのペニスが、自分のものだ、とはなんだか思えなかった。2本ものペニスに犯されて、イッてしまうだなんて。 「あぁ……きつ……いいね…」 俺の背後で、修が呻くように言っているのが聞こえた。 すぐに、また、後孔の中に、熱い感触がひろがり、じっとりと満たされるような気がした。 「あ……あつ……」 「いいよ…いい」 修が、中でイッたんだ…と気付くまで、少し時間がかかった。ただ、修が俺の腰をつかんで、何度も角度をかえて、腸壁を湿らせていたから。「中に、精液を打ち付けられている」ということに気付いた。 「う……う……」 自分の声が、他人の声みたいに聞こえる。修は、しばらく俺の中をかきまわしていたけれど。 全てを放出し終えると、俺の腰をつかんでいる手に力をこめて、俺の身体を引き上げた。 「あ……あ……抜ける……」 そのせいで、俺の中を犯していた、2本のペニスが、ズルリと抜け落ちていくのが分かった。空虚になった後孔が、「ジュン」と締まって、中の精液を、本能的に溜め込もうとしている。 「あぁ……あついよ……中が…あ」 本当に熱いのかどうかも分からなかったけれど。後孔の中が精液で満たされている…と思うと、下半身がずっしりと重たいような気がした。 俺は、床に両手を置いて、青年と修の間から、這い出した。熱い肌が、ぴったりと密着していた間から抜け出ると、空気がひんやりと冷たいような気がした。でも、それが新鮮で心地よかった。 「う……う…」 でも、息をするたびに、後孔が、ズクズクと痛い。 「あぁ、かなり裂けてしまったね。だいぶと血が出ている」 修の声が聞こえると同時に、グイと後孔と尻の割れ目を柔らかいタオルで拭われた。 俺は四つん這いのまま、振り返ってみてみると、修の持っている白いタオルに、血がべっとりとついて、赤くなっていた。 「ひ……」 チラと視線の隅にうつったその光景に。俺は身体がすくむ感じがした。 修は、そんな俺の視線には気にも止めない様子で、タオルをもって、一旦部屋を出て行った。俺は、どうしたことだろうか…とモジモジとしていたけれど。 また、すぐにドアが開いて、修が段ボールの箱をもって、また、部屋に入ってきた。俺は、その中身がなんなのか。気になって、覗き込みたかったけれど。 そうするのは、なんだか不作法な気がして、チラチラと段ボール箱をみるだけで、床の上に横たわったままでいた。 すると、修は、箱の中から、また、あの、毒々しい色の、「大人のオモチャ」を取り出した。 「ひ……」 その効果が分かっているだけに、俺も身体がすくんだ。 みただけで、ゾッとする。 「や……それは…やめて…」 俺は、四つん這いで、逃げだそうとしたけれど。修が俺の足首を掴んで、グイと引き寄せた。 「ひぃ……ひぃぃぃ……」 ズルズルと修のすぐ傍にまで、身体が床を擦れて、引き寄せられる。 「大丈夫だよ。きっと、この前よりは、楽だよ」 にっこりと笑っている修の笑みが。逆に気持ちが悪かった。 背筋がゾクゾクとして。なんとか逃げ出したかったけれど、その「笑み」は、それを許さないような気がした。 無駄に抵抗したり、逃げだそうとしたりしたら、どうされるか分からない。 俺は、チラととなりでジィッと横たわっているだけの青年をみつめた。 あんな風に、ただの肉塊にされてしまったら。 俺は、手先が恐怖で冷たくなっていく気がした。 「そう、大人しくしていれば良いんだよ。偉いね、敬偉は」 修の手が、俺の髪の毛を何度か撫でていた。 そうしてから、四つん這いの、俺の足の間に修の身体が入ってきた。 「あ……」 後孔のすぼまりに、冷たい感触が押し当てられる。この前の痛みを思い出して、歯を食いしばったけれど。 「あ……あぁぁ……」 でも、修が言っていたとおり。それは、思っていたよりも、ずっとすんなりと俺の中に入ってきた。 「うぅ……は…入る……」 その、「大人のオモチャ」の周囲についているイボイボが、後孔の粘膜を擦り上げる感触が気持ち悪かったけれど。でも、さっきまで修と青年のペニスを入れられていて、後孔が広がっていたのかも知れない。最初、入れられたときにくらべて、ずっとすんなりと入った気がした。 「あ……あぁ……気持ち悪…」 でも、やはり、人工的なひんやりとした冷たさと。イボイボの独特の感覚が、ゾクゾクとした。入れられている物が、異物だ、と実感するような気がする。 「な、楽だっただろう」 理が、俺の髪の毛を撫でて、にっこりと笑んできた。俺は、微かにうなずくしかなかった。本当に、それをみとめてしまうのは気恥ずかしいような気がしたし。 でも、かなり楽だったのは事実だった。 「さぁ、スイッチをいれるよ」 「え……あ……ひ…」 修の言葉と同時に、後孔の中の異物が、激しく蠢きはじめた。 さっきまで、ペニスを入れられていて、敏感になっていた後孔の粘膜が、グチャグチャに掻き回される。 「ひ……ひぃぃ…」 俺は、その濡れた音を聞きながら、床に爪を立てた。 修と青年のペニスが入っていたから、挿入は楽だったけれど、やはり、その動きは全然違う。人工的で、ぐねぐねと蠢いて。 後孔の中を強引に押し広げようとするような蠢きに、身体がビクビクと痙攣していた。 「あ……気持ち…気持ち悪い……」 俺は、修に救いを求めるように、視線を上げたけれど。彼の顔はうっすらと笑みをたたえていて、俺のそんな様子を楽しんでいるようにも見えた。 「あ……ひ……」 俺は床に爪を立てた。でも、それは、無駄な行為だった。少しも後孔の中の感覚は収まらなくて。だんだんと頭の中がぼやけてきた。 「う……う」 後孔のうごめきに、下半身が自分の身体から切り離されているように感じる。頭では気持ち悪いと思っているはずなのに。 四つん這いで覗き込んでみると、ペニスが屹立していた。 「あ…なん…なんで」 さっきイッたばかりなのに、また、勃起しているのが嘘みたいだった。 だから、俺は、四つん這いだった右手を、下半身の方に持っていった。 「ひ……あぁ……へん…」 ふれただけで、ペニスがヒクンと震えて、背筋を快感が這い上がってくる。 「う……あぁ…イイ……いいよぅ…」 後孔に入れられている玩具に、何か塗られていたのかも知れない。興奮剤か、催淫性のあるクスリか何か…。そうとしか感じられなかった。 じゃないと、こんなにも興奮する筈がない…。 「あ……あぁ…」 俺は、必死で自分のペニスを擦ってみたけれど、刺激がまだまだ足りないような気がした。 チラと視界の隅に、修が、青年の後孔にも、バイブを入れているのが見えた。 水色で、太く男性器を模したバイブ。それを根本まで入れて、出てこないようにガムテープを貼り付けていた。 俺は、四肢のない肉塊が、バイブを飲み込んでいるのを見ていると、ゴクリとツバが喉の奥に湧いてきた。 修は、青年の処理を終えると、何か、クスリのような物を飲ませていた。 そうして、俺の傍に戻ってきて、俺の顔の横に膝をついて「口を開けてごらん」と言った。言われると、自然と俺の口が開いた。 舌の上に、何か、錠剤のようなものが載せられた、と思うと同時に、唇にグラスが押し当てられて、水が口の中に入ってきた。 「うぐ……」 強引に嚥下させられるとと、俺は、なんのクスリだろうか…と心配になってきた。 チラチラと青年を見ても、何の変化もない。 「大丈夫。ただの睡眠導入剤だよ。もう、今日は眠るといい」 修の言葉に、少しホッとすると同時に、強烈な眠気が頭に広がっていった。 後孔のバイブの感覚が気持ち悪いのに。それなのに、ゆらゆらと、瞼を開けているのが辛くなってきた。 みあげると、修の顔が見えた。彼は冷静で、静かな表情で、俺を見ていた。 そのことに、なんだか少し安心すると。 俺は、強烈な、泥を混じえた津波のような眠気に飲み込まれ。 目を閉じた。
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