「やっ・・あぁっ・・」
 壁に爪をたてて、痒みを堪えようとした。でも、酷くなっていくばかりだ。
「先輩、変?」
「うっ・・おかしいっ・・」
 必死で嵐のシャツを掴んで、引き寄せた。何かにしがみついていないと、どうにかなってしまいそう・・。
「なんとかっ・・してっ・・変・・」
 涙がどうしようもなくあふれて来る。
「かわいい・・先輩」
「やっ・・・」
 後孔に、冷たい器具が押しあてられる。何か分からないものがズルズルと体内に侵入して来る。なんとか痒みから逃れるために舐め上げようと、腸壁が蠕動してすすりあげている音が聴こえて来る。
「あぁっ・・何っ・・やっ・・」
 冷たい無機質が侵入して来るのが嫌で、必死で体をずらした。
 でも、そんな事おかまいなしに、嵐の手が動きつづける。
「どんな感じ?」
「いやっ・・やめっ・・」
「言って」
 終わりがないような長いものが最奥をついている。気持悪い・・。
「奥がっ・・気持悪っ・・」
 中がゾクゾクしている。うごめいて、勝手に器具を締め付ける。
「あぁっ・・・」
 パチパチと音がして、嵐の手が離れた。さっき嵐が見せた物が、晶の下半身に下着のような形になってまとわりついている。
「バイブ付とかいう奴?このまま外も歩けますよ」
 クスクスとわらいながら、嵐の手がズボンを上げていく。
「ひっ・・あぁっ・・」
 嵐の手がやんわりと性器を包んで来た。ただでさえ、後からの刺激で限界まで来ていた。
「あぁっ・・・」
 触られるだけで、あっけなく欲望を解放して、嵐の手を汚してしまう。
「はぁ・・うっ・・」
 そのまま、ズボンが上げられて、ベルトが止められてしまった。
 まだ、中にはあんなものが入っているのに・・。
「あっ・・嵐っ・・」
 中がズクズクと疼く。本当に、おかしくなってしまいそう・・。
「さて、帰りますか?」
「まっ・・嵐っ・・」
 トイレットペーパーで手を拭いて、そのまま個室の鍵を開けてしまった。後についていくしかない。でも、歩こうとしても、どうしても腰がガクガクと震えてしまう。
「うぅっ・・・」
 なんとか嵐のコートにしがみついて、ゆっくりと足を動かした。
「嵐っ・・だめだ・・」
 歩く度に中がグイグイと抉られて、一歩踏み出すのもきつい・・。内壁が刺激されると、どうしても声を上げてしまいそうになる。
「それくらい、大丈夫ですよ。先輩なら」
 それでも、じっとしていると、奥から虫が這い出て来るみたいにムズムズしてくる。
「あぁっ・・助けてっ・・・」
 必死で嵐のコートにしがみついた。体が人におされると、中の異物までうごいてしまう。痒みを押さえたいけど、動くと声をあげてしまいそう・・。
 どうしようもない。体が壊れてしまいそうな錯覚がする。
「でも、家まで我慢するしかないでしょう。まさか、ここで外すわけにもいかないんだから」
 手を包み込まれて、ねっと首をかしげられた。
 もう、神社を出て、駅に向って歩いている。
 殆ど嵐に引きずられているような形だけど、そうするしかないのかな・・。
「あっ・・・」
 また、中がえぐられて、頭の中が白く弾けた。
「そんなに声をあげないで、しっかりして下さい」
「あ・・でも・・・」
 もう、早く、解放して欲しい・・。声を上げないように、頑張って足を動かすのが苦しい・・。
「うっ・・・」
 嵐に手を引かれて、なんとか電車に乗り込んだ。
 でも、顔がすごく赤くなっているのが分かる。逆に、手の指先がどんどんと白くなっている・・。
 体の震えがおさまらない。なんだか、周囲にモヤがかかったみたいで、霞んで見える。
「嵐っ・・」
 しがみついていた指を引き剥がされて、座席に座らされた。
「ひっ・・あぁっ・・」
 そのせいで、一層奥まで異物が突いて来る。突然の刺激に体が震えて、細かく痙攣した。
「先輩・・・」
「嵐っ・・やだ・・」
 なんとか俯いて指を噛んだけど、隣に座っている人が不審そうな目を向けて来ている。
 中をえぐられたせいで、体が痙攣して暴発してしまった。嫌な、じっとりとした不快な感触が広がっていっている。
「降りたいっ・・嵐っ・・」
 なんとか、目の前に立っている嵐のズボンを握りしめた。
 下半身が気持悪い・・。もう、感覚がないような気がしてくる。
「まだ、駅に着いてませんから・・・」
 手が、やんわりとズボンから引き剥がされてしまう。嵐の自宅までは、まだ、あと3駅もある。体がどうにかなってしまいそうで怖い・・。
 暴走していってしまいそう・・。
「はぁっ・・・」
「大丈夫ですか?」
 さも、具合の悪い友達でも心配するような口ぶりで髪の毛をなでてくる。
 嵐のせいなののに・・・。でも、この手に縋って、なんとかしてくれ、と頼むしかない・・。
「あぁ・・」
 必死で手を握りしめて、足の震えを止めた。
 奥が、どうしようもなくもどかしい。

「先輩、着きました。立てますか?」
「・・・うん・・」
 手が肩を掴んで来る。それにも体が震えて、むしゃぶりついてしまいそう・・。
「おっ・・おかしくなりそうっ・・・」
 なんとか、必死で嵐にすがりつきながら訴えた。
「もう、なってるんじゃないですか?座っただけでイくなんて・・」
 嵐が苦笑して、もたれ掛かって来る晶の体を立て直した。
 ガクガクと震えるだけで、目もすっかりとろけてしまっている。
「抜いてっ・・変っ・・」
「まだ家に着いてませんよ」
「でもっ・・」
 駅からはたったの5分弱の距離だ。それさえも耐えられないかのように、晶の体がどんどんとすりよって来る。すれ違う人も、晶が俯いているせいか恥知らずな恋人同士・・という視線で見て来る。
 なんとか、震え続けて、足をもつれさせる晶を引きずるようにして嵐の家まで連れ帰っ時には、駅を出て15分以上が過ぎていた。
「はぁーあ・・すげぇ、時間かかった」
 玄関に入ると同時に晶の体が床にへたり込む。
「嵐っ・・除けてっ・・」
 もう、目には一杯に涙がたまって、顔も真っ赤になっている。どっからどう見ても、やられてますってな顔だ。
「じゃあ、ズボン脱いで下さい」
「あぁっ・・う・・」
 白くなった指をもつれさせながら、必死で晶がズボンのベルトを外して、白い足をさらけだした。
 羞恥心とかよりも、今はとにかく器具を外してもらう事のほうが先になっている。
「早くっ・・あらしっ・・」
 目に嵐しかうつっていない。朦朧として、自分がどこかにいってしまいそうだ。
「先輩、かわいいですよ」
「早くっ・・やっ・・」
 覆いかぶさって来る嵐の首元に、必死になって両腕を巻き付けた。そうしないと、体がバラバラに崩れてしまいそうだから・・。
「あぁっ・・ひっ・・」
 嵐の手が降りて来て、ゆっくりと器具が引きずり降ろされた。
 内壁が擦り上げられて、ズルズルと異物が排出されていく。でも、その後からじわじわと虫が湧いて出るように、また痒みが広がっていく。
「はぁっ・・あぁ・・・」
「すごい・・真っ赤になってますよ。コレ付けてる間に何回イッたんですか」
 器具の前に欲望の後が付いている。
「やっ・・あぁ・・」
 器具を追って、蠕動する中の感覚に体を震わせながら、晶が粗相した子供の様に顔を両手で覆った。
「あっ・・う・・」
「先輩、ほら、汚れちゃってますよ」
 器具が目の前に掲げられる。必死で目を閉じても、瞼の裏に浮かんでしまう。
「あぁ・・ごっ・・ごめんなさいっ・・」
「かわいい・・もっと謝って」
「ごめんなさいっ・・ごめんな・・さいっ・・あぁ・・」
 奥が、すごく痒い・・。虫が中から出て来ているみたい・・。どんどんと体の奥にまで痒みがしみ込んでいるみたいだ。
「痒いっ・・かゆいよっ・・」
 必死で嵐の耳に歯を立てた。
「入れて欲しい?」
 嵐の声が耳に響く。甘い誘惑に逆らえない。体が言葉だけでもイッてしまいそうな程興奮している。
「入れてっ・・お願いっ・・」
 嵐の肩口にしがみついて、顔を擦り付けた。涙と涎がカッターにべっとりと跡をのこしている。
「じゃあ、見せて。どんな風になってるか」
 嵐が悪魔みたいに酷薄そうに笑った。でも、言葉には逆らえない・・。手を放してしまうと、体がバラバラに壊れそうだったけど、なんとか引き剥がして、床の上に四つん這いになった。
 恥ずかしさと快感が頭の中でせめぎあって、訳が分からない。
 どうすればいいのかも・・。
「はぁっ・・やだっ・・見ないでっ・・」
「すごい・・震えてる・・」
「あぁっ・・痒いっ・・痒いよっ嵐っ・・」
 ゆっくりと指が撫で上げるだけで、体が震えてしまう。
「中が真っ赤ですよ。腫れ上がって、ピクピク痙攣してる」
「やだっ・・言わなっ・・」
「すっげぇ、もの欲しそう・・。
 中から液もらして、ちょっと入れただけでまとわり付いて来る」
 晶の体がガクガクと震えて、床に白い飛沫が散った。
「あぁっ・・やだっ・・」
「何、言われただけでイッたの?」
 クスクスと嵐が笑っている。あまりの恥ずかしさに顔を床に突っ伏して嗚咽をもらしてなき始めた。それでも、腰は高くかかげたままで、前も立ち上がったまま。
「すげっ・・ヤラシイ・・」
「あっ・・ひ・・」
 不意に、後孔に熱い塊が押し付けられた。そのまま、グイグイ押し進んで来る。
 襞がまくり上げられて、グチャグチャと音を立てているのが聞こえる。
「あぁっ・・あ・・」
 奥から圧迫されて、痒みがじわじわと消えていく。代わりに、どうしようもない快感が背筋を這い上がって、脳まで一気に貫かれた。
「あぁ・・ひ・・」
「すごい・・絡み付いて来る」
「やだっ・・やぁっ・・」
 勝手に腰が揺らめいて、中で嵐を味わってしまう。引かれると、もの惜しげに後をついて、腰が動いてしまう。
「はぁ・・あ・・変っ・・」
「どうして欲しい?」
「奥っ・・奥がっ・・熱い・・」
 必死で嵐の腕にすがりついた。
 体が本当に壊れてしまったみたいだ。快感以外感じられない。床に体を打ち付けられても、痛みも何も考えられない。それさえも快感にすり代わってしまう。
「はぁ・・あぁ・・」
「襞が、まくれ上がってますよ」
「やだっ・・あぁ・・」
 濡れた音が響いて、体が圧迫される。突かれる度に体が燃え上がるみたいに熱い。
「ひっ・・やぁっ・・」
 体が抱え上げられて、中に熱い飛沫が打ち付けられた。
 腸が蠢いて、飲み込もうとするかのようにヒクヒクと痙攣している。その刺激に、晶も前から体液を溢れさせた。
「はぁっ・・あぁ・・」
 息を吐いている暇もなく、また、中の容量がどんどんと増していった。コレ以上やられたら、本当に死んでしまう・・。
「やめっ・・嵐ッ・・」
 なんとか手を掴んでも、中の刺激はおさまらない。
「あぁっ・・熱いっ・・」
 また、勝手に体が熱くなっていく。
 勃ち上がったままの性器から、また勝手に体液が溢れ出して、そのまま、晶は意識を手放した。

 体中がけだるくて、目が覚めてしまった。
 見慣れない天井とベッド。体が半分うずもれているようなふかふかした感触で、なんとなく落ち着かない。
「はぁ・・・」
 嵐の家だった・・・。
 さっきまでを思い出して、思いきり溜め息をついた。服はパジャマにかわっている。体もベトベトしないから、嵐が拭いたんだろう・・。
「あぁ、先輩。起きましたか?」
「・・・・」
 ドアを開けて、嵐が入って来た。
 1人暮らしのクセに、2DKで勉強部屋とリビング形式に分けられている。
「大丈夫ですか?今日は泊まっていって下さい。どうせ、もう遅いし」
「あっ・・・」
 もう、9時を差している時計を指差された。
 そんなに寝ていたなんて・・。自己嫌悪だ。
 とりあえず、家に電話をかけてから、またベッドにもぐった。
「今日は・・すみません・・」
 珍しく、殊勝に嵐が謝っている。髪の毛を撫でている手を突っぱねるような気にもなれないで、なんとなくそのまま天井の一点を見つめながら、だまって目を閉じた。
「でも、一緒にいる時くらい俺の事を考えて欲しかったんです。
 先輩に、俺のこと・・・」
「・・・」
 なんとなく、居心地が悪い。そんな事を言われても、どうしようもない。
「先輩が、狂うくらいに俺の事を考えてくれたらいいのに・・俺だけ・・」
 嵐が呟いて、布団越しに体がのしかかって来た。
 一瞬、ビクリと震えてしまう。
「何度も言ってるけど、好きなんですよ・・」
「・・・・」
 それだけ言うと体を離して、部屋を出ていってしまった。
 なんなとなく、すごく自分が悪いような気になってしまう。嵐が悪いのに。嵐だけが悪いのに・・。
 もう、どうしたらいいのか分からない・・。
「悪いのは嵐・・俺じゃない・・・」
 口に出すと、少し楽になれたけど、やっぱり心がザワザワと落ち着かない気がする。
 どうすればいんだろう・・。分からない・・。
 布団を引き上げて、目を閉じた。
 暗闇に包まれても、落ち着けない心のせいで、なかなか眠りにつけなかった。

2001 3 18UP
 

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