屋上
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朝日奈義彦が、学校の屋上で、昼食を食べるのは、週に2・3度有ることだった。

というのも、義彦は、私立智浦高校に転校してきて、まだ、これといった友達も出来ていなかったからだ。

元から、控えめで、あまり話し上手ではない性格もあいまって、越してきて、もう、3ヶ月になるというのに、クラスで、メアドを知っている友達は、1人も居なかった。

 

それに、義彦のいるクラスは、特進コースだ。

 

将来は、国公立か、私立の難関大学を受けよう、という生徒ばかりが集められている教室。まだ、受験までは、1年半あるというのに、クラス全体がなんとなく、競争心でギスギスしているような雰囲気がしていた。

 

だから、自分から、「友達を作ろう」としなければ、誰も、「新しくクラスに入ってきたライバル」のコトなど、誰もかまいはしないだろう。

 

転校することが多かったから、1人で居ることには馴れている、とはいえ。

やはり、クラスで1人か2人くらい、「話せる奴」が居た方が、何かと便利かも知れない…。

 

そんなことを考えながら、義彦は、校舎の屋上へのドアを開けた。

「っつ………」

眩しいほどの日差しが、目に飛び込んでくる。

9月も終わりだというのに、日差しはまだまだ、夏を引きずっている。

一瞬、クラッと目眩がして、義彦は、ドアを握る手に力をこめた。

 

屋上には、自殺防止用の高いネットが設置されていて、中央に貯水槽がある。

それ以外にも、倉庫のようなものや、小屋などが設置されていて、入り組んでいる。

だから、1人になりたいときには、ちょうどいい場所だった。

 

義彦は、いつものように。

ドアから、なるべく遠くて、目につかない場所を探して歩いた。

手には、焼きそばパンと、紙パックのジュースが握られている。

 

貯水槽を過ぎて、物置のプレハブ小屋の辺りに来たところで、義彦は、ふと、足を止めた。

 

誰かの、話し声がした気がする。

 

先客が居るのかも知れない。

今までも、何度か、他の生徒と鉢合わせになったことがある。

大抵、そういう場合は、義彦は、先客の目につかないような所で昼食を取るようにしていた。

今日も、先客が居るのだったら、出来るだけ離れた場所がいいな。

相手は、どこに居るのだろう。

話し声がする、ということは、複数人居るのだろう…。

 

義彦は、くるりと周囲を見回して、少し迷ってから、歩みを進めた。

 

小屋が入り組んで建てられているせいで響いて、どこから声が聞こえてきているのか、よく分からない。歩くと、ザッザッという義彦の足音と、「声」だけが響いている。

 

ただ、相手も、「義彦」という第三者が侵入してきたことを、足音で知ったのだろう。

一瞬、ピタリと静まって。今度は、押し殺したような、ボソボソと小さい声になった。

 

声のトーンから、女生徒ではないような気がする。

 

義彦は、なんとなく、かくれんぼをしているような気分になった。

このまま、すぐに、声から遠く離れてしまってもいいのだけれど。

せめて、先客の居場所くらいは知っておきたい。

 

純粋で、何の面白みもない好奇心だった。

 

多分、こちらの方…と思える方へと足を進める。

どんどんと「声」は近づいて来ている気がする。自然と足が速まっていく。

自分の足音と、先客のボソボソとした声が、耳に特に大きく響いている気がする。

 

「っつ………」

ちょうど、プレハブ小屋を通り過ぎた辺りで、ドンッと勢いよく、何かにぶつかった。

「いたっ……つ……」

目の前に、学校指定の、薄水色のカッターシャツが見える。

「いってぇ……」

自然と、顔を上げて、自分がぶつかったものを、見上げた。

あまりにも、突然の障害物だから、避けることができなかった。

 

相手も、まさか、プレハブの、角を出くわし頭にぶつかるとは思っても居なかったのだろう。

ぶつかった、顎のあたりを抑えている。

義彦が俯いて歩いていたし。

5cmばかり、相手の方が身長が高いという事から、ちょうど、頭と顎が思い切りぶつかってしまったのだ。

「ご……ごめん」

反射的に、義彦は謝って、相手を見上げた。何度か見た覚えがある。多分、きっと、同じクラスの生徒だ。

「………」

相手は、躊躇したように目を見開いてから。

自分が出てきた、プレハブ小屋の道の方へと視線を流した。

入り組んで建てられているせいで、細い路地のようになっている。

相手の視線がそちらに動いたから。

自然と、義彦も、つられるように、そちらの方へと視線を動かした。

 

「っつ………」

男が、立っていた。

否、正確には、義彦がのぞき込んだ路地には、2人の生徒が居たのだけれど。

「え……?

1人の生徒は、膝立ちで、上半身は、シャツを脱いで、裸になっている。

義彦の位置からは、よく見えないけれど。ズボンの前のボタンも外しているのだろう。ややズボンがずり落ち気味になっている。

 

「な……」

残暑のきびしい日の光をうけて、裸の肩から、背筋、腰への輪郭が、妙に白く見えた。

そうして、跪いている1人の生徒は、無心に。立っている生徒の1人の股間に顔を埋めている。

じっと見てみると、跪いている生徒の赤い唇が、立っている生徒の股間のペニスをくわえているのが見えた。

くわえられている方は、ニヤニヤと薄い笑みを顔に浮かべながら、タバコを唇に置いている。ズボンの前を開いて、ペニスをくわえさせている以外は、全く、普通の生徒と変わらない様子だった。

「あーあ……見つかっちゃったな…。よりにもよって、転校生に」

 

声に、一瞬にして、現実に引き戻された気がした。

光景が、あまりにも異様過ぎて。

まるで、別世界へと飛んでいって仕舞ったような気がしていた。

 

よくよく見てみると、跪いている男の背中だって、言うほどには、白くはない。

平均的な男子高校生の肌色だろう。

 

ただ、その様子を、一瞬で「理解しろ」というのは、土台、無理な話だった。

「な……なにしてるんだ?

自分が口にした、あまりにありきたりな質問が間抜けすぎて。

自分は一体、何をきいて居るんだろう…と嫌気がさしたけれど。

とりあえず、ぶつかった男を見上げてみた。

「………」

「なんだよ? 見てわかんねーのか? 生理的現象解消ごっこをしてるんだよ」

「……え……」

ぶつかった男は、むっつりとした無表情を崩さない。眉を寄せて、義彦を見下ろしている。代わりに、路地にいる、くわえられている男が、ククッと喉の奥で笑いながら、義彦の質問に答えた。

「来いよ」

「え……」

ぶつかった男が、義彦の肘をつかんだ。意外と、見た目よりも、力が強い。

路地の方へと、グイと引っ張って、歩き始めた。ふりほどこうか、悩んだけれど。

肘をつかむ力の強さに、無駄な抵抗はよした方がいいのかも…と思い、だまって、2人の居るそばへと歩いた。

 

義彦にぶつかった男のカッターシャツの胸には、「角田」という名前が刺繍されているのが見えた。

「見つからないように、って、こっそりとしていたんだけどなぁ…。

 まさか転校生にみつかるとはなぁ…」

ペニスをくわえさせている男は、言葉とは裏腹に、楽しくてしょうがないような笑みを浮かべている。ニヤニヤとした笑みは、何か策略でもたてているようで、薄気味悪い。

胸を見ると、「臼井」という名前が薄水色のシャツに浮かび上がっていた。

その名前の刺繍から視線を下げると、股間部分で、黒々とした髪の毛を揺らしている頭がある。

上下や左右に揺れて、臼井のペニスを口いっぱいにくわえこんでいるようだ。

「な……なにごっこ…って……」

あまりにも、高校の屋上に似つかわしくない光景で。

臼井が言った言葉は、耳の上を撫でるように流れていってしまった。

「だから、俺は昼休みにするのは反対だったんだ。放課後だったら、残っている生徒も少なくなるのに」

角田が、義彦の肘をつかんだまま、臼井にくってかかるように言葉を発した。

「いいじゃん。

転校生もせっかくだから、参加させてやろうぜ。

こうして見つかったのも、何かの縁かもしれないし、さ」

「………俺は反対だ……」

角田が、義彦の肘をつかむ力が、どんどんと強くなっていく。声は、何かを押し殺すように。無理矢理、我慢しているような呟きだ。

 

角田は生真面目そうだ。

それに反して、臼井は、ニヤニヤと薄笑いをずっと浮かべていて。

ぬめっとした、つかみ所がない人間のようだ。

 

この2人が、仲がいいのか…。なんだか、意外な気がする。

「俺に反対するのかよ。

それに、角田だって、転校生には、興味があったんだろう。

ちょうどいい機会じゃないか」

「な……何を言って居るんだ…」

会話の中身が、よく見えない。

ただ、転校生という事で、自分が話題に上がっている、という事は分かるのだけれど。

それでも、いい意味での話題ではないような気がして。冷や汗が、背筋を流れる。

焼きそばパンをもっている手に、力を加えた。

「お……俺、別の場所で食うから…」

 

角田の手から離れようと、グッと腕に力をこめた。

「おいおい。それはないだろう。ここまで見られて、離すわけがないじゃないか」

臼井が、手を伸ばして、角田につかまれているのとは違う方の腕に、触れてきた。

細くて白い指なのに。見た目以上に力がある。

両腕をつかまれると、たまらなく、不安な心地になる。

しかも、2人とも、義彦よりも、ガタイがいい。

逃げ出すチャンスを失ってしまったような気がする。

 

「お……俺は…」

逃げだそう…と、一歩さがろうとしたところで。

「角田」

臼井の抑揚のない声がして。

「ひ……」

角田の手が、両手をつかんで、背中でねじり上げてきた。

バサッと音をたてて、ジュースと焼きそばパンが、地面に落ちる。

その光景が、スローモーションみたいに見えた。

背中で両腕をまとめられる。

柔道だか、合気道だか。何か、武術の技をかけられているみたいで、動くことが出来ない。

「は……離せよ」

「ほら、これで、縛っておけばいいだろう」

臼井がポケットからハンカチを取りだして、角田に渡した。

何を縛り上げるのか。聞かなくても分かってしまう。

ヤバイ状況だ。おかしなモノに、巻き込まれている。

 

「………」

「い……いたい……」

後ろ手で、両手首が、ハンカチでがっちりと縛られたようだ。

手首に布が食い込んで痛い。

でも、それだけじゃなく。両手の自由がきかなくなるっていうのは、こんなにも不安になるものなんだろうか…。

両手を必死で引っ張ってみても、どんどんと食い込んでくるだけで。

「あはは…。引きちぎろうったって、無理だよ。

角田はボーイスカウト仕込みで、絶対に抜けられないように、縛ることができるから、ね」

臼井の楽しそうな声が響く。

 

「な…なんで…こんな…」

縛られたりしなきゃいけないのか…。

「ひ……」

臼井の手が伸びてきて、前髪をつかまれた。

そのまま、グイと力をこめて、引き寄せられる。

「っつ…………」

自然と、バランスを崩して、身体が、地面に倒れそうになる。

両手を縛られていては、手をつくこともできない。

ヤバイ。

でも、そう思う間もなく、つかまれた前髪のおかげで。なんとか、倒れることを避けることはできた。

ただ、地面に膝立ちで、前髪で身体を支えているような姿勢になってしまうから、非道く不安定だし。

もし、前髪を離されたら…。

頭から、屋上のコンクリに倒れ込む…と考えると、怖い。

「こ……こんな……」

ふと、横を見ると、臼井の股間のペニスをくわえている生徒がいた。

臼井の前に、その生徒と、義彦。2人して、膝立ちで、臼井を見上げるように並んでいる。

下から見上げると、臼井の薄気味悪い笑みが、余計に気持ち悪く見える。

 

隣の生徒は、ペチャペチャと音をたてて、臼井の股間を舐めている。

 

どうして、こんな事をしているんだろう。この生徒は…。

シャツを着ていないから、名前は分からないけれど。でも、クラスで見た覚えがあるような気がする。

ただ、あまりに恍惚とした表情で臼井のペニスを舐めていて。

緩みきったその顔からは、普段の顔が、想像しづらい気がする。

 

コイツは、頭がおかしいのだろうか。

他人の股間を舐めるだなんて。しかも、こんなに嬉しそうに。

 

「俺たちも、転校生には、興味があったんだよな。

 うちみたいな特進コースに転校して来るだなんて、異例だもんな。

 きっと、よほど頭がいいんだろう。俺たちよりも……」

臼井が、タバコをつまんで、白い息を吐いた。

だから、嫌だったんだ…。

転校生というのは、何かと注目されやすくて。

「特に、角田は気になっていたみたいだよな。

いつも、転校生の方を注意して、見ていたもんな」

角田の方を見上げた。臼井よりも、背が高い角田の顔は。逆光が眩しくて。

その表情を見ることはできなかった。

 

「こういう所を見られたのも、何かの縁だよなぁ。

俺と角田とに、能登1人では、バランスが悪いなぁ…と考えていたところだったんだ」

「臼井……。やっぱり、やめよう。能登とは違って、朝日奈は…」

義彦は、臼井の言葉の内容よりも、角田が、自分の苗字を言ったことを意外におもった。

「転校生」で片づけられることが多いのに。

それと同時に、隣の生徒の苗字が、「能登」だったことも、思い出した。

「なんだよ。まさか、本気で転校生の事が好きな訳じゃないだろう」

臼井は、クスクスと笑っている。

角田は、臼井の言葉に、グッと喉につまったように、言葉を飲み込んだ。

「ほら、じゃあ、転校生にも、舐めて貰おうかな…」

「え……」

臼井が、腰を引いて、能登の唇から、ペニスを引きずり出した。

完全に屹立して、唾液で、濡れそぼっている。

 

学校の屋上で、真っ昼間に見るようなモノじゃない。

ただ、あまりにも、赤黒く、先端から、液を滲ませているペニスは、異様で。

義彦は、思わず、眉を寄せて、顔を背けた。

他人の性器を、こんなにも間近で見たのは初めてだ。

自分のだって、そんなにじっくりとは見たことがないのに。

「う………」

むあっとした、生臭い臭気。血管が浮かび上がっていて、熱く脈打っているのが分かる。

「ほら、じゃあ、転校生。俺のチンチン、舐めろよ」

「え……」

つかまれていた前髪に力を入れられて、頬に、ペニスがこすりつけられた。

「や………何を……」

言葉を理解するまでに、数秒かかった。

まさか、コンナモノを舐めろって言われるだなんて思わなかったから。

「お……俺は…」

慌てて身を引こうとしたけれど、つかまれている前髪の痛さが増すだけだ。臼井は、見た目よりもずっと力があるるのかもしれない。

もしくは、自分は両手を縛られて、こんなアンバランスな姿勢にされているせいで、うまく身体に力が入らないのか。

「ほら、黙って、大人しく言うことを聞けよ。それとも…、痛い目をみたいのか?

「ひ……」

臼井が、髪の毛をつかんでいる手に、力をこめた。

そうして、もう片方の手で、左の頬に拳を振り下ろしてきた。

「う……あ……」

モロに拳が左頬にめり込むようにあたった。全身に、痛みという言葉では片づけられない衝撃が走る。

殴られたんだ…と実感すると同時に。たまらなく、目の前の臼井が気持ち悪いように思えてきた。

「さぁ、口あけて」

言うとおりにしないと、また、殴られるんじゃないだろうか。

また、あんな衝撃が、身体を走るんじゃないか……。

想像すると、恐ろしい。

「あ………」

言われるままに、臼井の方を見上げて、唇を開けた。

「うぐ………」

同時に、臼井の屹立しているペニスが、口の中に侵入してくる。

想像していたよりも、ずっと生臭い。

膝立ちでたって、股間に顔を寄せているから、陰毛の部分が鼻に擦れて。余計に、その臭気を増している。

「うぐぅぅ……」

しかも、喉奥を突いてきていて。

食道の奥から、胃の内容物が迫り上がってきているような気がする。

「ほら、こうしてチンチンくわえると、優秀な転校生だって、能登とかわらないよな」

臼井が、タバコをふかしながら、角田の方に笑みかけた。

 

角田は無言で。だけれども、その雰囲気が、硬く、臼井の意見に否定的な事を表していた。

義彦は、ただ、揺さぶられるままに、頭を動かすしかできない。

こみ上げてくる吐き気を抑えるのと。口いっぱいに入っている性器を噛まないように必死で口を開けているので精一杯だ。

 

「能登」

角田が、さっきまで臼井の性器をくわえていて、ぼんやりと所在なげに膝立ちでたっている、半裸の同級生に声を掛けた。

そうして、腕を惹いて、能登を床の上に四つん這いの姿勢にさせた。

視界の隅で、角田が、能登のずり落ちかけていたズボンとパンツを、一気に膝まで引き下ろした。

そうして、角田も、自分のズボンの前をくつろげた。

中から、半分以上。硬くなった性器が現れる。

臼井のそれよりも、一回り弱、大きいように見える。

「あぁ……」

能登が、小さく声を上げた。

でも、けっして否定的なものではなく。歓喜ともとれる声だった。

 

義彦は、まさか…と思っていた。

男性同士で、そういう事をする人間がいるのは知っていたけれど。自分とは、どこか遠い。架空の世界の出来事のようで。

でも、今、目の前で、そのことが行われようとしている。

 

角田が、自分のペニスをつかんで、2・3度擦ると、半立ちだったものが、完全に屹立した。

そうして、能登の腰をつかんで、自分の性器をゆっくりと能登の足の間。肛門にすりつけていっている。

 

「う……」

まさか、肛門から、あんな大きなペニスが入るわけがない…。

そう思いたいのに。

角田が、ポケットから、チューブのようなモノを取りだした。

それを、肛門の入り口に練り込む。

そうすると、意外なほど、あっさりと。

角田のペニスが、能登の肛門の中にグチュグチュと音をたてながら、入っていった。

「うぅぅぅぅ………」

あまりにも、グロデスクで、生々しい。

 

今まで、勉強一筋できていた義彦は、男女の性交渉だって、生半可な知識しかない。

それなのに、突然、同性同士の性交を見せられて。

 

「う……」

ちょうど、角田と能登の股間がよく見えたのが、余計に義彦に恐怖をあたえた。

 

「チッ…歯、たてるなよ」

「あ……」

グイと前髪をつかまれて、臼井のペニスが口から引き抜かれた。

義彦の唾液か、臼井の先走りの液体か、どちらか分からないけれど。

粘液が、唇から糸を引いて、だらしなく顎に垂れた。

「あ……だ……だって……」

角田と能登を見ていると、それどころじゃなくて…。

能登の腰をつかんで、角田が、激しく動き始めている。

ゆっくりと動いていたかと思うと、激しく腰を動かしたりして。

「なんだよ、角田と能登が気になるのか? お前も、能登みたいにして欲しいのか?

臼井が、耳元にささやいてくる。

言葉の意味が、よく分からない。

現実が、理解の許容範囲を超えているのかもしれない。

 

「角田。転校生も混ぜて欲しいってよ。

 コイツも、混ぜてやれよ」

「……ちが……俺は…。

 違う…。混ぜて欲しくなんか…ない」

必死で首を振ったけれど。

臼井が、髪の毛をつかんで、後背位で結合している角田と能登の方へと義彦を引きずっていった。

 

やばい。

恐ろしいことが起きている。まさか、自分が、こんな事に巻き込まれるだなんて。

現実ではない、と信じたい。

自分が転校生だから、いけなかったのだろうか。

それで、目についたから、こうして、虐めのようなことをされて…。

「ご……ごめん…。許してくれ……」

必死で、身体をうねらせて、臼井の手から逃げようとしたけれど。

引っ張れば引っ張るほどに、後手に結ばれているハンカチは食い込んでくるようで。

 

「何、言ってるんだよ。俺らは、サイコーにいいことしてるんだぜ。

 それに、転校生も混ぜてやろうっていってるんじゃないか。嬉しいだろ」

「ひ……」

臼井が、ケラケラと笑いながら義彦の身体を、能登の前に投げ出した。

「ひ……ひぃぃ……」

そうしておいて、義彦のベルトに手をかけて、ゆっくりとはずしていく。

 

何か、プレゼントでも開けて居るみたいに。

薄笑いを浮かべながら、義彦のズボンの前を緩めて。

今まで、誰の前でも故意にさらしたことがなかった股間をさらけだしていく。

「や……やめ……」

恥ずかしさと、何をされるのかわからない恐怖で、頭の中が、完全にパニックになっている。

 

「さぁ、下半身丸出しだ」

「あ……」

臼井の声と同時に。ズボンとパンツが、完全に足から引き抜かれた。

薄水色のカッターシャツ一枚で、屋上の床の上に、押し倒されている。

「ひ……ひ……」

3人の男達が、自分の股間を見て居るんだ…と思うと。

恥ずかしさで、涙が出てきそうになる。

「じゃあ、能登に馴らしてもらえよ。なぁ、能登も、転校生のチンチンとケツの穴。

 興味があるよな。

 頭がいい奴のアソコって、どうなっているのか」

「い……いた……」

べったりと床に、うつ伏せで這うように、身体が押さえつけられた。

ザラザラとした床の感触が、太腿にあたって、痛い。

でも、その太腿に、すぐに他人の手が触れてきた。

「………」

首をひねって、後を見ようと思っても、臼井に、肩を床に押さえつけられているせいで、見る事ができない。

ただ、臼井の手とは違う、能登の手が、股間に触れてきて。

その指が、妙に冷たくて…。

「ひぃ………」

ブルブルッと身震いした。

 

どうして、能登は何も言わないのか。

臼井に言われるままなのか。

 

気持ちが悪い。

その、能登が、いったい、今、自分に何をしようとしているのか。

 

「い……いた……あ…」

能登の指が、尻の双丘を指で押し広げて来ている。

そうして、今まで、だれも触れたことがなかった、後孔の入り口を、指でついてきている。

「や…やめ……」

普段触れない部分が、開かれていて、空気が冷たく後孔の入り口をなで上げていく。

その気配に、ぞぞっと背筋に悪寒が走る。

「ひ……」

クチュと音がして、なんだか、軟体動物が触れるような気配がした。

「ほら、転校生。能登にケツの穴舐めて貰って、どんな気分だ?

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