水泳部

運動部のマネージャーって、楽じゃない。

特に、今日みたいに、合宿の時は、荷物持ち扱いをされてしまうし。

でも、水泳の特別推薦で入学したにも関わらず、身体をこわしてしまって、現役復帰は絶対に無理、となってしまった今となっては。

マネージャーくらいしか、出来ることがないから…。

 

というか、マネージャーもしないんだったら、学校側から強制退学を宣告されそうで。

 

「おい、さっさとしろよ!!

「あ……はい……」

声を掛けられて、水泳部のマネージャー、長月聖は。小走りに、声の方へと走っていった。

 

大成学園の水泳部は、全国的にも有名だ。全国大会でも、何度も優勝しているし。部員の大半が、特別推薦で入学してきた生徒ばかり。

聖もそのうちの1人だったけれど。

一年生の冬に、肩を壊してしまって。それからは、選手として復帰できなくて。

それでも、高校に残るためには、部のマネージャーになるしかなくて。しょうがなく、マネージャーになった。

 

今まで、水泳ばかりしてきているから、今更、勉強して、他の高校に転校するだなんて無理。それに、家の経済的にも、高校を移ることはできなくて。

 

でも、マネージャーなんて名前ばかりで、要は、部員のストレス発散のはけ口と雑用係みたいなもの。

マネージャーになって、もう半年が経つけれど、なかなか馴れることができない。

それに、今回は、マネージャーになって、初めての合宿だ。

 

「呼ばれたら、さっさと来いよ!!

「す……すみません……」

同学年の二年生の部員と、後輩の一年生の部員達が、ずらりと並んでいる。

 

全員、ランニングをしてきて、帰ってきたところらしい。

 

身体をこわすまでは、同じ部員同士、対等だった同級生と。後輩に頭を下げるのは、なんとなくムカムカするけれど。

今の自分の立場を考えたらば、しょぅがない。

「これ、洗っとけよ」

「あ…はい…」

バサッとTシャツを10枚ほど投げつけられた。

どれも、汗で汚れて、じっとりと重たい。

「あーあ……合宿なんて、24時間、部活みたいなモンだよな…」

「マジでだりぃよな……」

部員達が口々に呟きながら、合宿場の方に歩いて行っている。

 

Tシャツが重くて、一番後について、ひょこひょこと歩いていると。

「マネージャーなんて、楽そうだよな」

「適当について来てりゃいいだけなんだから、いいよな」

「長月が羨ましいよな。

 肩、壊したクセに、平気に顔して、学校に残って。

 しかも、練習も何もしなくていいマネージャーだぜ」

わざと聞こえるように、もとチームメイト達が、大きな声で言っている。

いつものコトだけれど。そう言われると、胸がキリキリと痛くなってくる。

自分だって、好きで、肩を壊したわけじゃないのに。

出来るんだったら、部員に戻りたいのに…。

「おい、何、ぼさっとしてるんだよ!!

「あ……は……はい……」

小走りに駆けようとすると、足がスッと出てきた。

「あっ……」

踏みだそうとしていた足が引っかかって、バランスが崩れる。

「う……」

Tシャツを抱えたまま、思い切り、その場にこけてしまった。

 

「うわ、何やってんだよ。とろくせぇな…」

ゲラゲラと、部員達の笑う声が聞こえる。

汗で濡れていたTシャツは、土がドロドロについている。

これじゃあ、手洗いしないと。洗濯機では、落ちないだろう…。

 

余計な仕事が増えてしまった。

 

それに、こけたせいで、腕をすりむいたみたいで、血が出てきている。

「ほんと、どんくさくて使えないマネージャーだよな…」

「あぁ、見てるだけでイライラする」

笑いながら歩いていく、男達の背中を見ながら、なんとか、Tシャツを抱え直して立ち上がった。

 

いっそ、学校を辞められたら、どんなに楽だろう…。

でも、今時中卒では働き口がないだろうし…。

 

こうして、このまま我慢するしか、術はないんだ…。

 

遠ざかっていく男達の背中を追うように、聖も合宿場の方へとかけだしていった。

 

 

合宿っていっても、クラブの延長か、と考えていたけれど。

思っていたよりも、楽じゃない。

何よりも、雑用がおおい。

 

部員の食事の後かたづけとか。

寺を借りて合宿をしているので、当然、自分たちのコトは自分たちで全部しなくてはいけない。

今も、ようやく、部員達の晩ご飯の食器を片づけた所だ。

 

部員数も多いし。なによりも、みんな、よく食べるから。片づける食器の量も半端じゃなくて、大変だった。思っていたよりも、時間がかかってしまった。

まだ、部員達のジャージの洗濯が終わっていない。

筋トレでドロドロになっているから。一枚一枚手洗いしなくてはいけなくて、どうしても時間がかかってしまう。

 

「あぁ……もう、こんな時間だ……」

時計を見ると、もう八時を指している。

早くジャージを洗って、寝てしまわないと。

明日は、明日で、朝ご飯の準備があるから、早くに起きなくてはいけないし。

 

小走りで、洗濯場まで廊下を走った。

「おい、長月」

「え……」

声に振り返ると、部員の海老原が、黒光りしている廊下の真ん中に立っている。

「え……海老原…」

海老原は、肩を壊す前。一番仲良くしていた部員だ。

マネージャーになってからは、なんとなく気まずくて。

話したことがなかった。

 

きっと、海老原の方も、聖にどう声をかけていいのか分からなかったのだろう。

その海老原が、廊下に立って、自分に声をかけている。一体、何の用なんだろう…。

 

「えと……な…何…かな?

167cmの自分よりも、10cmほど背が高い海老原の方を、見上げて見た。

「いや…。今まで、言いづらかったんだけど。

 他のみんなが言っているコト、あんまり気にするなよ」

「え……」

「長月って、責任感が強いから。きっと、気にしているだろうなぁ…と思って。

 選手じゃなくなったって、長月は長月なんだから」

にっこりと、海老原が微笑んで、こちらを見下ろしている。

 

思っても居なかった優しい言葉に、一瞬、頭が付いていかなかった。

 

でも、ジワリジワリと、言葉が心に広がっていく。

 

まさか、そんな優しい言葉をかけられるとは思っても居なかったから。

感動して、胸が熱くなってくる。

「海老原……」

なんて言ったらいいのか、分からない。でも、嬉しい。

こんな自分でも、認めてくれている人が居る、っていうことが。

「あ……ありがとう…」

「いいんだよ…」

笑んでいた海老原が、唇を噛むように舐めた。

「長月は長月だよ。選手じゃなくなったって、いくらだって、役に立つ方法はあるんだ」

グイと、腕が掴まれた。

思っていたよりも、海老原の力は強い。

 

体格も、聖よりもいいせいかもしれない。

 

「他の部員にも、そのことを言い含めていたところなんだ。

 お前が、役に立つ奴だってコト、これから証明してやろうと思って」

顔をのぞき込んでくる海老原の笑みが。

なんだか、さっきとは違って、少しゆがんでいる気がする。

 

なんとなく、怖い。

「いいよ……。証明なんて…。俺は、海老原が分かっていてくれたら……」

「そんな遠慮するなよ。俺が証明してやるって言ってるんだから」

「え……」

強引に、腕を掴まれて。

廊下を引きずるようにして、引っ張られた。

「い……いいよ…本当に……」

ズルズルと。身体が引きずられていく。

「ほら、みんな待っているから…」

部員のうち、特別推薦枠で入部している部員が集められている、小部屋の前まで引きずってこられた。

 

たしか、この部屋には、2・3年生の部員10人ばかりが寝泊まりしているはずだ。

本当だったら、自分も、この部屋で合宿をしているはずだったんだけれど。

今は、物置で、寝袋で寝ることになっている。

 

「え……海老原。本当に……」

離して欲しい。なんとなく怖い。

「ほら、長月、連れてきましたよ」

ガラッと、襖を海老原が勢いよく開けた。

「う……」

12畳ほどの部屋の中に、10人ほどの部員が座っている。

その全員が、一斉にこちらを見上げてきた。

 

3年生が半分。

しょうがなしに、聖も、頭を下げた。

「こ……こんばんは……」

「あぁ、待ってたんだぜ。

 俺らが、マネージャーなんで、無駄だよな…って言っていたら、海老原が、長月にも、まだまだ使い道がある、なんて言うから」

「は……はぁ……」

部長の言葉に、海老原の方を振り仰ごうとした。

と、同時に。

「ひっ……」

ガンッと音がして。

衝撃が頭に走った。

 

思い切り、頭が殴られたんだ…と分かるまで、一瞬時間がかかった。その間に、身体がグラリと揺れて、畳の上に、膝をついてしまう。

「先輩達にマネージャーの使い方っていうのを、見せて差し上げよう…と思って。な」

「ひ……」

後頭部の髪の毛が、思い切り、鷲づかみにされた。

「い……いた……」

そのまま、ズルズルとひきずって、部屋の中央まで引っ張って行かれる。

「な……う……」

 

何が起きているのか、よく分からない。

ただ、さっきまで見下ろしていた先輩達に。

今は、見下ろされている。

 

髪を引きずられて、畳の上に、引き倒されている。

「な……なに……え……海老原……」

「ほら、まだ訳が分かっていないみたいだ。

 馬鹿で、かわいいでしょう…」

海老原が、部屋の中にあった、ボストンバッグを掴んで、頭の上に振り下ろしてきた。

「ひ……」

さっきの、手とは比べモノにならない衝撃が、頭に走る。

「い……いた……」

頭がグラグラとしている。

「あ……な……」

「先輩、長月の腕、押さえてください」

頭を押さえていた手が掴まれた。

「ひ……」

仰向けにさけて、頭上で両手をがっしりと押しつけられる。

 

両手の自由がなくなると、途端に不安になってくる。

 

「や……本当に。やめろよ…海老原…」

「マネージャーっていうのはね。こうやって使うモンなんですよ」

海老原が、ニタリと笑って。

勢いよく、聖のジャージとパンツを、足からズリ下ろした。

「なっ……」

思っても居なかった行動で。慌てて、ズボンを押さえようとするけれど。

 

両手が高速されているせいで、腰を動かすくらいしか、抵抗することが出来ない。

「な……なにするんだよ……海老原……やめろよ……」

ひやっとした空気が肌に触れてくる。

 

下半身が、完全に露出されてしまっている。

ジャージとパンツしか履いていなかったから。性器も、尻も、剥き出しになってしまっているはずだ。

どうして、こんなコトをするのか分からない。

一体、何のために…。

 

海老原は、聖が「役に立つ」っていうコトを証明してやる、って言っていたのに。こんなんじゃあ、一体、何をしようとしいるのか分からない。

 

「え……海老原……」

上半身を起こそうと、力を入れてみた。

でも、腕を掴んでいる手は、緩みそうにない。

「先輩、押さえているの、しんどいでしょう。これで、縛ってくださいよ」

海老原が、腕を押さえている先輩に。聖の脱がしたジャージから、ウエストの紐を抜いて、手渡した。

「ひ……」

頭上を、細い紐が手渡しされている。

「あぁ…そうだな。ちょうどいい」

「あ……」

両手をまとめられていた指が離れて。

そのかわりに、手首に、細い紐が巻き付いていく。

「や……やめてください…先輩」

 

両手が、紐で、ひとくくりにまとめ上げられてしまった。

 

両手が自由にならないっていうのは、こんなにも不安なものなのか…。

背筋がゾクゾクする。

なんだか、怖い。下半身は剥きだしにさらされているし、両手は紐で縛られている。

何がおこるのか、分からない。

「せ……先輩……」

「あぁ、顔が青くなってきた。ようやく、自分の置かれている立場が分かってきたかな…」

みおろしている海老原が、唇をペロリと噛むように舐めた。酷薄な笑みが浮かんでいる。

「じゃあ、まずは、ケツの穴を見てやろうか…」

「ひ……」

両足首が掴まれて、身体が折り畳むように抱え上げられた。

両足が大きく開かれて、間に、海老原の身体が割って入っている。

「ほら、コレがケツの穴だ。まだ、窄まっていて、小さいな…」

「な……なに……」

冷たい指先が、尻の割れ目の奥。

後孔の窄まりをつついてきている。

今まで、触れたこともないような場所だから、

指先が触れる事に、身体がビクンッと痙攣してしまう。

「本当だ。きっちり口を閉じて…。ケツの穴って、こんなんなんだな…」

他の先輩、部員連中も、のぞき込んできている。

 

恥ずかしい。

 

まさか、そんな場所を、大勢の人間に見られるとは思っても居なかったから…。

「み……見ないで…」

男達が、足を掴んで、より大きく左右に広げようとしている。

太腿の付け根が痛い。

「い……あ……」

「じゃあ、こんなに小さくちゃあ、何も入らないから。広げてあげようか…」

海老原の声が聞こえて、鞄を引き寄せているのが見えた。

合宿用の大きなボストンバッグを近寄せて、中から、何かを取りだしている。

「あぁ…あった。これでいいだろ…」

「な……」

鞄の中から取りだしたのは、髪の毛用のワックスのチューブ。

「これで、緩められるだろう」

「ひ……」

お尻の穴の入り口に。硬いチューブの先っぽが押し当てられた。

 

「ひぃぃ……あ……」

そのまま、思い切り、ブリブリブリとチューブが押しつぶされる。

「あ……あ……」

 

濡れたような感触がして。

身体の中に、何か、グチュグチュとしたものが入っていく感覚がする。

気持ち悪い。

排便の時とは、間逆の感触で…。

腸の中を、何か、軟体が迫り上がってくる。

「ひ……ひ……」

下半身から広がってくる圧迫感。

太腿が、ビクビクと勝手に震えている。

「あぁ、全部入った。ほら、これで、だいぶと滑りがよくなったでしょう」

「本当だな……海老原の指が。楽に入っているじゃないか」

「あ…あぁぁ……」

ヌルヌルとした感触につづいて、硬い、指が後孔の窄まりの中に入ってくる。

そんななモノ、入れたくない。押し出したいのに。

ズルズルと勝手に入ってくる。

 

指の圧迫感が、下半身全体に広がっていっている。

 

「ほら。先輩も、指、入れてみますか?

「あぁ……」

ゴクンと、誰かがツバを飲み込む音が響いた。

「ひぃ……く……くるし……」

同時に、圧迫感が増して。

海老原の指が入ったままの後孔に、他の人の指も入ってくる。

どんどんと増していく苦しさ。

後孔が押しひろげられていると、なんだか、身体が強引に開かれているようで。

 

心許ないし、自分ではどうしようもないのが。

不安で、苦しくて。頭の中が混乱していく。

「本当だ。楽に入るな…。さっきまで、あんなにきっちり口を閉じていたのに。

 ほら、襞がめくれ上がって、指にまとわりついてくる」

この声は、部長だろうか…。

「あ……あ」

入っている指が、上下に激しくこすられると。

身体の中身まで引きずり出されそうで。

「面白いな。

 なぁ、指以外も入れてみようぜ」

「そうですね…。じゃあ、何を入れます?

海老原の鞄を、先輩達が漁っているみたいだ。

ガサガサとした音が聞こえて。

「あぁ、これいいじゃん。

 ペンとか。これならはいりそうだよな」

「あ……」

視界の隅に、海老原のペンケースがはいった。

 

海老原は、勉強熱心だから。

いつも、色々な色のペンやボールペン、シャーペン、コンパスなんかを持ち歩いている。

 

あまり勉強していない聖とはちがって。

勉強道具は、いつも持ち歩いて居るみたいだ。

 

そんなペンケースを取りだして、どうするっていうんだろう…。

 

ぼんやりとした頭で考えていると、先輩がペンケースの中から、蛍光ペンを取り出した。

「まずは、これ、入れてみようぜ」

「ひ……」

あんな硬いモノ。

お尻の穴の中に入れられてしまったりしたら……。

「や……やめてください……」

「ほら、これなら、簡単に入りそうだ…」

「ひ……」

後孔に、冷たくて硬い感触が押し当てられる。

「う……あ……」

「……入っていく……すげぇな……」

グチュグチュと音をたてながら、蛍光ペンが、後孔の襞を割り広げて行く。

「ひ……ひ……」

ピンク色の襞の中に、完全に蛍光ペンが入ってしまった。

身体に、芯が入ってきたみたいで苦しい。

「もっと、はいりそうじゃないか?

「あぁ、どんどん入れてやろうぜ。まだまだ入りそうじゃん」

男達が、ゲラゲラとおかしそうに笑っている。

「う……」

「じゃあ、2本まとめて、入れてやるよ。ほら……」

「あ……ひ……」

さっきよりも、おおきな異物が、押し当てられている。

苦しい。

でも、ワックスの滑りを借りて。

「うぅぅぅ……」

ぬぷっとした感触とともに。

下半身が、ズシリと重たくなった。

後孔が、ギチギチに、内側から押しひろげられている。もう、ペンが3本も入って居るんだ。苦しくて、身体の神経全部が、下半身に集中していく。

「まだ、入りそうだよな…」

「い……いや……無理……」

これ以上なんて。

とんでもない。

こんなにも、苦しくて、痛くて。頭の先まで、後孔の感覚に支配されているみたいなのに。

 

「これなんか、入れてみたら、おもしそうじゃねぇ?

先輩の1人が、ペンケースから、コンパスを取りだした。

「ひ……」

あんなゴツゴツしていて、先がとがっているモノ。

入れられたりしたら…。

中が切れてしまう…。

 

恐ろしい想像に、背筋がひやっとする。

「ほ……本当に…やめてください……」

身体をずり上がらせて逃げようと思うのに。

両手が縛られて、身体を押さえつけらせれているせいで、逃げ場がない。

「いいじゃん。入れてみようぜ」

 

先輩達、同級生達が、ケラケラと声をあげて笑っている。

 

あまりに不気味で、怖い。

「い……いや……」

「ほら、入れやすいように、こうしてやるよ」

目の前にコンパスか持ってこられて、それに、さっきのヘアワックスがべっとりと塗られた。コンパスが、ワックスに濡れて、テラテラと光っている。

「う………」

見ているだけでも、気分が悪い。

あんなものが、お尻の穴に入れられたりしたら。

「これで入るだろう…」

視界から、フッとコンパスが消えて。

後孔に、冷たい感触が押しつけられた。

「ひ……あ……」

「もっと、ケツ、割り広げろよ…」

「はい…」

先輩の声に、双丘が、グイと両側から押しひろげられた。

「ひぃ……」

痛い。それに、中に入っているペンが、ズクリと腸壁を押し上げて。

どんどんと中に入ってくる気がする。

「あ……あ……」

「あぁ、どんどんコンパスが入っていく…。ほら…」

ペンを押し上げて。

冷たくて硬いコンパスが。

じわりじわりと後孔の中に入ってくる。

「い……いた……あ………」

「根本まで入ったな…」

もう限界。ペンが、腸壁を押し上げて、引き裂いてしまうんじゃないか…という恐怖と共に。

先輩の指がピタリととまった。

「見てみろよ。コンパスとペンがケツの中に入っているぜ」

「本当だ…。すげぇ。よく、こんなに入るよな…」

「うわ…。マジで入ってる。腸の赤いのが、コンパスに映ってますね…」

部屋のメンバー全員が、聖の後孔をのぞき込んでいる。

恥ずかしくて、痛くて。

 

頭の中がグチャグチャだ。

苦しくて、勝手に涙が出てきてしまう。

 

「じゃあ、コンパス、広げてみようか…」

「え……」

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