窓の外では受験なんて全く関係のない1・2年生がグラウンドを駆け回っている。
ジャージや短パン、もしくは、それぞれのクラブのユニフォームを身に纏って、10代特有のキラキラとした魅力をふりまいている。
「はぁ・・・」
山原 一樹は溜め息をついて、窓ガラスを指でなぞった。自分にもあんな時代があったはずだけど、もう遠い昔の事のように記憶の底に沈んでしまっている。
望んでついた職だけど、教職っていうのは、少しつらいかも知れない・・。
もう、これからはただ働いていくだけで、将来も決まってしまっている自分が、希望に満ちあふれた少年達とたえず対峙していなければならないのだから・・・。
「失敗したかな・・・」
苦笑して、ドサリと国語準備室のソファーに腰かけた。
カッターシャツの上にカーディガンを羽織る姿も、板に着いて来てしまった。
この学校で働き始めて5年・・・。そろそろ、結婚を考えた方がいい歳かもしれない・・。いまだに担任をもたせてもらえない理由はそこらへんに有るのかも・・。とは言っても、身長もギリギリ170で、筋肉も全くつかない身体。こんな自分と結婚してくれる女性なんているのだろうか・・・。
「先生」
色々と考え込んでいると、不意に準備室のドアが開いた。
もう、一月だから、追い込みで教師のところに質問にくる生徒も多い。
とは言っても、あくまで担任教師のところ。だから、大抵の先生達は職員室に詰めていて、準備室には帰って来ない。
「あぁ、またお前か・・・」
そういう事が生徒もわかっているから、準備室なんかに来る生徒も少ない。
「どうした?また古文か?」
「まぁ、そんなところかな・・・」
3年で、山原が国語をもっている三井は無表情に赤本を差し出した。
三井は山原のところに質問にくる、数少ない生徒の1人だ。たいていの生徒は予備校にいってしまうから、勉強の質問に、なんて来ない。
「あぁ・・・ここの問題は特殊だからなぁ・・・」
山原も赤本を受け取って、机の方に移動して指導を始めた。
山原と三井の接点なんて、ただ授業をうけもっているだけ。なんでも、国文科志望とかで、大学選びの際も何度か質問に来ていた。
山原を頼って来る生徒なんて珍しいから、よく印象に残っている生徒だ。
そのせいで、2年までは剣道部で主将をはっていたとか、成績はかなりいいらしいなんて事も知った。
「まぁ、受験までももうすぐだから、気合い入れて頑張れよ。
お前だったら、多分大丈夫だろうから、後は健康管理に気をつけて・・」
説明も終えて、赤本を閉じながら、山原は呟いた。三井は向いで無表情に頷ている。
威圧感があって、自分よりも長身で・・・こういう生徒を見た時は、いつも男子高になんか勤めるんじゃなかった・・・と思ってしまう。
「うん、じゃあ・・頑張って」
「はい」
三井はいつものように、鞄の中に赤本をしまうと、そくさと準備室を後にした。
「はぁー・・・」
窓の外では、相変わらず生徒達が走り回っている。
5時が定時だからといって、5時にかえったりしたら、他の先生に何をいわれるやら・・。とりあえず、クラブの終わる7時ぐらいまではなんとか時間を潰して学校にいなければいけない。
とりあえず、さっきまでいた三井の志望校の、過去問題を取り出して来て、机の上に拡げた。
7時ぐらいには学校を出ようと思っていたのに・・・。運悪く、先輩教師に掴まって、雑用を言い付けられた。結局学校を出たのは9時。
今からだと、家に帰るともう10時だ。
「ったく・・・」
ボヤきながら、山原は山手線に乗り込んだ。
車内はOLとサラリーマンと塾帰りの子供など・・・年齢層はまちまちだ。
椅子に座って、ゆっくりと眼を閉じる。疲れが身体に充満していくみたいだ。
睡魔に絡み取られてしまう。
そのまま、山原は身体から力を抜いた。
「わっ・・」
ガクンっと電車が揺れても頭が隣の男性の肩にぶつかったはずみで、眼が覚めた。
「すっ・・すみません・・・」
あわてて顔を挙げてお辞儀した。同時に、顔がひきつってしまう。
「どうも・・・・」
ぺこりと頭を下げたその男は、さっきまで準備室にいた生徒だ。
「みっ・・三井っ。なんでっ・・」
うろたえてしまう。さっきまで頭をあずけていた肩が三井のだったなんて、間抜けな寝顔も見られてしまったのだ。
「いえ・・先生が居たので声を掛けようと思って、隣に来たら、寝てたみたいなんで・・・」
「あっ・・・そうかっ・・。悪かったな・・」
「いえ・・・」
三井はあいかわらず無表情に首をふる。でも、その格好は制服ではなく、私服だ。一旦家に帰って、どこかに行ったのだろうか・・。
「お前は・・予備校か何かか?」
「はぁ、まぁ・・・。先生は今まで学校ですか?」
頷いて時計をみた。もう、一周分寝てしまったようだ。
「先生は家、どこですか?」
「えっ・・あぁ、吉祥寺の方で・・とは言っても駅から遠いけど・・・」
三井は口の中で吉祥寺・・・と呟いてから、「俺もです・・」と小声で言った。
「先生は晩メシはもう食べましたか?」
「いや、まだだけど・・・」
「じゃあ、よかった。俺もなんです」
いや、家に帰るから・・・と言おうと思うけど、結局家に帰ったって何もない。
三井は決めつけたように、マクドでいいですか?と尋ねて来る。なんとなく頷いて、一緒に吉祥寺で降りた。
眠りから完全に覚醒しきっていないような気分のままだ。マクドのネオンが眩しい・・。
三井が私服なところも、ベール越しに生徒をみているようで、ボーっとしてしまう一因だ。
「俺が買って来ます」
三井は山原を席に座らせて、小走りでカウンターのある1階へ降りて行った。
やはり、疲労がたまっているのだろうか・・・。身体が重たくってだるい。今、座っているだけでも寝てしまいそうな気がする。
生徒の前だから、しっかりしなくては・・・とおもうけど、三井も私服だし・・。童顔の自分とでは、きっと傍目には兄弟か同僚程度にみられているに違いない。
「先生、買って来ました」
三井が買って来たバリューセットをとりあえずは食べた。
生徒と二人でたべている所なんて、他の教師に見付かったら、何を言われるやら・・・。
「でも、本当に偶然ですよね。電車で会うなんて・・・。先生が近所に住んでるなんて、俺知らなかったです」
「あぁ・・俺も・・・」
三井はそれだけ言って、あとは殆どしゃべらなかった。
山原も、勉強の事でも話そうかな・・・とはおもったけど、食べていると、そっちに集中してしまう。
「はぁ・・・・」
食べては、セットについているアイスコーヒーを飲み・・・。山原は食事しながら、結構な量の飲み物を飲む方だ。
ポテトまで食べ終わる頃には、かなり時間が経っていた。
「あっ・・・」
食べ終わって、息を吸込んでから、急な異変に気付いた。
急激に吐き気に襲われる。胃がきゅるきゅると収縮しはじめている。
「うっ・・っ」
慌てて口を押さえて、立ち上がった。
「先生っ・・・」
驚いたように、三井も追い掛けて来る。とにかく、吐き気をどうにかしないと・・・。
急いで、トイレの個室に駆け込んだ。後から来た三井も、空いたままの個室になだれ込んで来る。
「大丈夫ですか?先生」
「うっ・・・」
吐こうと思って、口を開けたけれど、さっきまでの吐き気が嘘の様におさまってしまった。
でも、かわりに、今度は下半身にどうしようもないような切迫感が押し迫って来る。
「ひっ・・・あっ・・・」
床にペタンとすわって、洋式便器に向かい合っていたので、あわてて両足を閉じようと動かした。
それでも、どうしてももぞもぞとしてしまう。
「あっ・・あぁ・・」
どうなっているのか分からない・・。
身体が変だ。こんな急激に、下半身の変化を眼の辺にした事がない。こんなに切迫した感覚も。
「先生、どうしたんですか?」
三井の手が背中を撫でる。
その手にもゾクゾクして、背筋が痙攣している。
「はぁっ・・・あっ・・」
口を開いて、『あっち行け』と言いたいけど、喘ぎ声しか漏れない。
身体が、どうしようもなくムズムズして、汗が、全身から吹き出してくる。
「せっ・・先生・・・」
三井が、一瞬慌てたように身を引いた。山原の足の間のズボンの生地が、妙に膨れ上がっているのが見えたのだ・・・。
身体が興奮していて、内側からジンジンと熱い。山原はこんなに切迫した感覚を味わった事がない。もえているみたいで、どうしようもない。
「先生・・・大丈夫ですか?」
トーンを落として、三井の声が耳に響いた。ギィと音を立てて、個室のドアが閉められる。
「うぅ・・」
背中越しに、力の入らないからだが抱え上げられて、三井の手で、トイレの蓋が閉められた。
その上に、這いつくばるような形で身体が置かれる。どうして、三井がそんな事をするのか、意味がわからないけれど、それよりも、身体の中の熱い感覚で頭が一杯だ。とにかく、どうにかして欲しい・・・。
「はぁ・・はぁ・・」
「発作状態ですね・・・。クスリに弱いんですか?」
後で、三井が呟いたけど、何を言ったかまでは脳が把握できなかった。
シャツ越しにあたる、便器の蓋の感触がひんやりとしていて気持いい・・・。
耳鳴りがガンガンと頭の中でひびく。回りがシャットアウトされたみたいで、フワフワとういているみたいだ・・・。
「先生・・・大丈夫ですか・・・クスリ、きつすぎたかな・・・」
「うっ・・・あぁ・・」
下肢の方かにカチャカチャと音がして、足にひんやりとした空気が触れた。
三井に、ズボンを脱がされている・・・。
何がどうなって、そうなったのか分からない・・。ただ、前の男性器は痛いぐらいにはりつめて、ジンジンとしている。
「あつっ・・ひ・・」
三井の熱い手が山原のペニスをぎゅうっとにぎりこんだ。身体がしなってしまう。
それだけの刺激で、身体が追い上げられる。
「ひっ・・・あぁ・・・」
一気に身体が熱くなって、中で渦巻いていた快感が一瞬途切れた。
「うわっ・・・」
三井が驚いたような声をあげて手をひく。山原の性器から白濁とした精液が溢れて、三井の手をべっとりと濡らした。
「あぁ・・おまえ・・・」
解放感で身体がけだるいし、まだクスリが抜けていないみたいで、身体が何か背負っているかのように重たい・・。
でも、さっきまでよりは、少しだけ思考が明瞭になった。
身体の急激な変化が、クスリのせいらしき事もわかる・・。
それが、三井が何かしたので有ろう事も・・。でも、これといって、三井に嫌われるような覚えがない。
何か、そんなに嫌がられるような事をしただろうか・・。
重たい身体を起こせずに、蓋に這いつくばったまま、なんとか首だけを後ろむけた。
「三井ッ・・。おまえ・・クスリ・・」
呂律まであやしい・・。
「ちっ・・・まどろっこしい・・・」
「ひっ・・あぁぁっ・・・」
脳天まで突き抜けるような痛みが身体に走った。
体内に熱い異物がめり込んで来ている。
グイグイと、内側から押し広げられてしまう。
三井の指だ・・・。
「うっわ・・きつっ・・・」
後ろで三井の呟く声が聞こえる。でも、体中が異物感に支配されてしまっている。
「ひっ・・・・」
一旦、指が引き抜かれた。
「やめっ・・三井っ・・・」
今度は、ドロリとした冷たいものが後孔の日だに触れる。ヌメヌメと気持悪い・・・。
まるで、自分が実験動物になってしまったみたいだ・・。
押さえ付けられて、何かわからないものを塗り込められている。
「はぁ・・あぁ・・・」
「さて・・先生、大丈夫ですか?」
三井の手が、後から山原の襟足の髪の毛を撫でた。
グイッと腕が身体の下に入って来て、引き起こされる。力が入らない・・。
「三井っ・・・お前・・」
浮いた足に、三井の手がズボンをはかせる。腕を振り払いたいけど、ぐったりと力が抜けてしまっている。
「先生、少しの我慢ですから・・」
「えっ・・・」
耳元で囁かれる声に、身体がゾクゾクしてしまう。
必死で、三井を見上げると、音をたててトイレのドアが開かれた。
強い力で腕を引かれて、歩かされる。
「みっ・・三井っ・・なにっ・・」
身体が寒いみたいに震えて来た。クスリ・・・と言っていたからそれの後遺症だろうか・・。
それにしたって・・だんだんと感覚が遠のいていくみたいだ・・。
三井に掴まれた腕が熱い。
「あっ!やぁっ!」
一気に身体から力が抜けて崩れ落ちた。爪の先まで、異様な感覚に支配されている。
「先生、もうすぐですから・・」
眼の前で、三井がにっこりとわらった。その腕にしがみつかないと、とてもじゃないけどバランスがとれない。
山原の指が、三井の腕に食い込んだ。
顔には冷や汗が浮いて、足ももう半分以上三井に引きずられているようなものだ。
マクドからは歩いて10分とない三井の家だけど、山原にはとてつもなく長く感じる。
どこに向っているかまでは気を配る事ができないような状態だけど・・。
三井の携帯電話が鳴って、山原の身体が震えた。
「おい・・・俺の家。そう・・来いよ」
頭の上で、三井の話している声が聞こえる。
だんだんと、身体の奥のほうから妙な熱が湧き起こって来た。
後孔が、自然と蠢いている。
「うっ・・三井っ・・おまえ・・」
さっき、トイレでいじられた時、何か塗りこんでいた・・。あれだろうか・・。
じんじんと熱い・・。
自然と痒みが湧いて来る。
「はぁっ・・」
「先生、こんな公道で腰をふらないでください。
ほら、このマンションですから」
痒さのあまり、自然と揺れてしまっていた山原の腰を、三井がたたいた。
にっこりと、上機嫌に笑っている。
「みっ・・みついっ・・」
それよりも、体内から来る不快感がすごくて、我慢できそうにない。
じわじわとせりあがって来るみたいに体中に蔓延していく。
「さぁ、エレベーターですよ。
乗って下さい」
身体を抱えて、狭い箱に入れられる。
三井の腕の中で、ガクガクと身体が震えている。
もう、限界が誓い。痒みのせいで、頭がどうにかなってしまいそうだ・・・。
「さぁ、つきましたよ」
エレベーターから降りて、部屋まで引きずるようにしてつれられた。ドアを開けると同時に、中に投げ出される。
「あっ・・ひっ・・・」
冷たいフローリングの上に、転がってしまった。腕に力がはいらない。抗議の声をあげたくても、喉からは荒い息しかもれない。
それよりも、クスリの異常な感覚に支配されていて、とにかく、痒くてしょうがない。
「先生、もう限界ですか?」
ニヤニヤと笑いながら、三井が山原の靴とズボンを脱がせた。
殆ど抵抗が出来ないのをいいことに、ズボンも上半身も全て取り払って、全裸にしいく。
なんとか、にげなければいけないのは分かるけれど、とにかく、この感覚をどうにかして欲しい・・・。
「あぁっ・・み・・ついっ・・」
「もう、痒くてしょうがないですか?大丈夫ですよ。待って下さい」
にっこりと笑った三井が、山原を乗り越えて一旦室内に入ってすぐに戻って来た。
「かゆいんだったら、自分でかけばいいでしょ。
ほら、手があるんだから」
「ひっ・・」
腕を掴まれて、後に回される。指先に、ヒクヒクと蠢く襞が触れた。
「あっ・・」
一気に、快感が電流みたいに背筋を這い上がる。
グチャリと音をたてて、襞が指をのみこんだ。
一気に痒みが少し癒される。快感のせいで、意思とは関係なく指が動くのを止められない。
「ひっ・・あぁっ・・・」
床に這いつくばって、必死で指で後孔を掻きむしった。塗り込められたクスリが混じって、いやな音をたてている。
|